2018年7月4日より、本が好き!レビュアーのかもめ通信さんによってスタートされたホンノワ「祝 #新潮クレスト・ブックス #創刊20周年」。
新潮クレスト・ブックスは、海外の小説、自伝、エッセイなどもっとも優れた豊かな作品を紹介するシリーズで、1998年に創刊されました。まずはその特徴をご紹介したいと思います。
※本テーマは2018年8月31日で終了しました。
練りあげられたブックデザイン
新潮クレスト・ブックスを手にしたことがある人ならだれでも、それがすぐに「新潮クレスト・ブックス」だ、とわかるはずです。特殊紙を使用したしっとりと風合いあるソフトカバーにふわりとした軽さ。
そして特徴なのが、仮フランス装による製本。天地左右の四方を本文より大きめに折り返してある製本方法です。また本文用紙の天(上側)を揃える断裁を施さない、天アンカット仕上げになっています。創刊当時は手作業で高価な製本だった仮フランス装を、新潮クレスト・ブックスのために独自開発したというこだわりよう。
イラストレーションや写真、グラフィックなど個性豊かでの自由なカバーデザイン。その造本のすみずみに、良質さを感じます。
惚れこんだ作品だけを刊行する
またこのシリーズの特徴なのが、「作品ラインナップ」。小説のほかに、ノンフィクションなどもあり、ジャンルの幅は広いのですが、共通するのは「よい作品を厳選する」という姿勢。編集者なり、翻訳者がほれ込んだ作品だけを出版しています。
新潮クレスト・ブックスが扱うのは、日本初紹介であったり、まだ知られざる作家。新人の場合もあれば、本国では誰もが知っている知名度のある作家の場合もありますが、「売れているから」という理由ではなく「優れたよい作品」を基準に翻訳化しています。
では、ホンノワでおすすめされた新潮クレスト・ブックスをご紹介していきます。
興味はあるけど、どれから読もう?という場合には、このリストが鉄板です。
気になった作品はぜひ推薦しているレビュアーのレビューを読んでみてください。
祝 #新潮クレスト・ブックス #創刊20周年 おすすめ本リスト(2018.9.3更新)
レビュアー名 | タイトル | 著者名 | 訳者 | |
1 | かもめ通信さん | 昏い水 | マーガレット・ドラブル | 武藤 浩史 |
2 | かもめ通信さん | 美しい子ども | ジュンパ・ラヒリ、ミランダ・ジュライ、アリス・マンロー他 | 松家 仁之(編) |
3 | かもめ通信さん | イースタリーのエレジー | ペティナ・ガッパ | 小川 高義 |
4 | タカラ~ムさん | 文学会議 | セサル・アイラ | 柳原 孝敦 |
5 | Wings to flyさん | アンジェラの灰 | フランク・マコート | 土屋 政雄 |
6 | ぱせりさん | 運命と復讐 | ローレン・グロフ | 光野 多惠子 |
7 | かもめ通信さん | 遺失物管理所 | ジークフリート・レンツ | 松永 美穂 |
8 | honsumiさん | 時のかさなり | ナンシー・ヒューストン | 横川 晶子 |
9 | honsumiさん | 林檎の木の下で | アリス・マンロー | 小竹 由美子 |
10 | ちょわさん | いちばんここに似合う人 | ミランダ・ジュライ | 岸本佐知子 |
11 | 星落秋風五丈原さん | 世界の果てのビートルズ | ミカエル・ニエミ | 岩本 正恵 |
12 | 星落秋風五丈原さん | タイガーズ・ワイフ | テア・オブレヒト | 藤井 光 |
13 | 星落秋風五丈原さん | 灰色の輝ける贈り物 | アリステア・ マクラウド | 中野 恵津子 |
14 | 星落秋風五丈原さん | 冬の犬 | アリステア・ マクラウド | 中野 恵津子 |
15 | かもめ通信さん | ロスト・シティ・レディオ | ダニエル・アラルコン | 藤井 光 |
16 | 東郷美恵さん | 四人の交差点 | トンミ・キンヌネン | 古市 真由美 |
17 | Wings to flyさん | 風の丘 | カルミネ ・アバーテ | 関口 英子 |
18 | かもめ通信さん | 大いなる不満 | セス・フリード | 藤井 光 |
19 | タカラ~ムさん | 未成年 | イアン・マキューアン | 村松 潔 |
20 | かもめ通信さん | 甘美なる作戦 | イアン・マキューアン | 村松 潔 |
21 | 三太郎さん | 素数の音楽 | マーカス デュ・ソートイ | 冨永 星 |
22 | ことなみさん | 終わりの感覚 | ジュリアン・バーンズ | 土屋 政雄 |
23 | ことなみさん | 遁走状態 | ブライアン・ エヴンソン | 柴田 元幸 |
24 | タカラ~ムさん | べつの言葉で | ジュンパ・ラヒリ | 中嶋 浩郎 |
25 | タカラ~ムさん | あなたを選んでくれるもの | ミランダ・ジュライ | 岸本佐知子 |
26 | honsumiさん | 旅の終わりの音楽 | エリック・フォスネスハンセン | 村松 潔 |
27 | かもめ通信さん | パリ左岸のピアノ工房 | T.E. カーハート | 村松 潔 |
28 | ぽんきちさん | マザリング・サンデー | グレアム・スウィフト | 真野 泰 |
29 | ぽんきちさん | 石のハート | レナーテ・ドレスタイン | 長山 さき |
30 | honsumiさん | シェル・コレクター | アンソニー・ドーア | 岩本 正恵 |
31 | かもめ通信さん | すべての見えない光 | アンソニー・ドーア | 藤井 光 |
32 | タカラ~ムさん | 誰もいないホテルで | ペーター・シュタム | 松永 美穂 |
33 | 星落秋風五丈原さん | 最終目的地 | ピーター・キャメロン | 岩本 正恵 |
34 | 星落秋風五丈原さん | ガラスの宮殿 | アミタヴ・ゴーシュ | 小沢 自然,小野 正嗣 |
35 | 星落秋風五丈原さん | 祖母の手帖 | ミレーナ・アグス | 中嶋 浩郎 |
36 | かもめ通信さん | ファミリー・ライフ | アキール・シャルマ | 小野 正嗣 |
37 | タカラ~ムさん | 子供時代 | リュドミラ・ウリツカヤ | 沼野 恭子 |
38 | ぽんきちさん | アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること | ネイサン・イングランダー | 小竹 由美子 |
39 | かもめ通信さん | ソーネチカ | リュドミラ・ウリツカヤ | 沼野 恭子 |
40 | Wings to flyさん | 屋根裏の仏さま | ジュリー・オオツカ | 岩本 正恵,小竹 由美子 |
41 | 星落秋風五丈原さん | マリアが語り遺したこと | コルム・トビーン | 栩木 伸明 |
42 | 星落秋風五丈原さん | ノーラ・ウェブスター | コルム・トビーン | 栩木 伸明 |
43 | 星落秋風五丈原さん | ヴォルテール、ただいま参上! | ハンス=ヨアヒム・シェートリヒ | 松永 美穂 |
44 | かもめ通信さん | 女が嘘をつくとき | リュドミラ・ウリツカヤ | 沼野 恭子 |
45 | honsumiさん | ナンバー9ドリーム | デイヴィッド・ミッチェル | 高吉 一郎 |
46 | タカラ~ムさん | ウインドアイ | ブライアン ・エヴンソン | 柴田 元幸 |
47 | かもめ通信さん | 陽気なお葬式 | リュドミラ・ウリツカヤ | 奈倉 有里 |
48 | ぽんきちさん | サラの鍵 | タチアナ・ド ロネ | 高見 浩 |
49 | とよさん | イラクサ | アリス・マンロー | 小竹 由美子 |
50 | タカラ~ムさん | 本を読むひと | アリス・フェルネ | デュランテクスト 冽子 |
51 | かもめ通信さん | ディア・ライフ | アリス・マンロー | 小竹 由美子 |
52 | タカラ~ムさん | あの素晴らしき七年 | エトガル・ケレット | 秋元 孝文 |
53 | かもめ通信さん | 夏の嘘 | ベルンハルト ・シュリンク | 松永 美穂 |
54 | かもめ通信さん | 夜、僕らは輪になって歩く | ダニエル・アラルコン | 藤井 光 |
55 | ぽんきちさん | ある秘密 | フィリップ・グランベール | 野崎 歓 |
56 | Wings to flyさん | 煉瓦を運ぶ | アレクサンダー・マクラウド | 小竹 由美子 |
57 | かもめ通信さん | 低地 | ジュンパ・ラヒリ | 小川 高義 |
58 |
とよさん |
アルネの遺品 | ジークフリート・レンツ | 松永 美穂 |
59 | かもめ通信さん | ビリー・リンの永遠の一日 | ベン・ファウンテン | 上岡 伸雄 |
60 | かもめ通信さん | 手紙 | ミハイル シーシキン | 奈倉 有里 |
61 | Wings to flyさん | 大統領の最後の恋 | アンドレイ・クルコフ | 前田 和泉 |
62 | かもめ通信さん | ペンギンの憂鬱 | アンドレイ・クルコフ | 沼野 恭子 |
63 | かもめ通信さん | いにしえの光 | ジョン・バンヴィル | 村松 潔 |
64 | ぴょんはまさん | 最後の晩餐の作り方 | ジョン・ランチェスター | 小梨 直 |
65 | Wings to flyさん | 彼方なる歌に耳を澄ませよ | アリステア・マクラウド | 中野 恵津子 |
66 | かもめ通信さん | 戦時の音楽 | レベッカ・マカーイ | 藤井 光 |
67 | ぴょんはまさん | 奇跡も語る者がいなければ | ジョン・マグレガー | 真野 泰 |
68 | タカラ~ムさん | 突然ノックの音が | エトガル ケレット | 母袋 夏生 |
69 | タカラ~ムさん | 初夜 | イアン・マキューアン | 村松 潔 |
70 | かもめ通信さん | あなたはひとりぼっちじゃない | アダム・ヘイズリット | 古屋 美登里 |
71 | ぱせりさん | ディビザデロ通り | マイケル・オンダーチェ | 村松 潔 |
72 | Wings to flyさん | 遠い音 | フランシス・イタニ | 村松 潔 |
73 | かもめ通信さん | ガルヴェイアスの犬 | ジョゼ・ルイス・ペイショット | 木下 眞穂 |
74 | タカラ~ムさん | 変わったタイプ | トム・ハンクス | 小川 高義 |
翻訳者は海外文学のソムリエ
翻訳文学において欠かせないのが、翻訳者の存在。その作品の魅力を一番に理解し、血の通った言葉で伝えてくれるからこそ、私たちは見知らぬ国の物語に没頭し、遠い街で生きる人々の息遣いを味わうことができます。そういう意味では、翻訳者は海外文学におけるソムリエのようなものかもしれません。
かくいう私も、内容が把握しづらい長編の海外文学を選ぶ際に「この翻訳者が訳したものならきっといい作品だ」と翻訳者を参考にすることも多いです。
新潮クレスト・ブックスに外れなし
20周年を迎える既刊本からは、『朗読者』、『停電の夜に』などベストセラーも生まれています。海外作品の目利きによってセレクトされたシリーズは「新潮クレスト・ブックスに外れなし」と言われるほどファンからの信頼が厚いのです。
表紙に惹かれて。タイトルに惹かれて。作家のファンだから。翻訳者をきっかけに。どんな入り口からでも発見と深い読書経験をもたらしてくれる、新潮クレスト・ブックス。次の一冊はぜひこのシリーズを手に取ってみてください。
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(本が好き!編集部 東郷)