翻訳者と話そう×本が好き! 翻訳家・和爾桃子の世界 最終回 ねこと古典詩 世界で唯一ねこをテーマにした新聞「ねこ新聞」

ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」や白水Uブックスのサキ四部作など、翻訳家としてご活躍されている和爾桃子(わに ももこ)さんが、2018年3月3日、梅田蔦屋書店のトークイベント「翻訳者と話そう」に登場されます。

◆トークイベント「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」
2018年3月3日(土)19:00〜 (開場18:30)
参加費 1,000円
会場:梅田 蔦屋書店 会議室Shimei(大阪府大阪市北区梅田3−1−3 ルクア イーレ)

ご予約は、梅田蔦屋書店さんのホームページから受付中です。関西方面にお住まいの方、この機会にぜひお運びください!
http://real.tsite.jp/umeda/event/2018/01/post-478.html
mail: umeda_event@ccc.co.jpinfo@sioribi.jp

■訳者のことばで読む

海外翻訳ファンも多い、本が好き!に向けて、和爾さん自身がこれまでに手掛けられた作品について、作品世界の魅力をご紹介いただくシリーズ。

最終回は、番外編として「ねこ新聞」に掲載された和爾さん訳の猫にまつわる古典詩をご紹介します。

「ねこ新聞」とは


1994年7月に創刊された「ねこ新聞」はその名のとおり、ねこをテーマにした新聞。編集長原口緑郎さんの「心を癒す仕事をしたい」という思いから誕生し、2018年に創刊22周年を迎えました。タブロイド版の月刊誌で、毎号選び抜かれた名画と詩の組み合わせが話題となっています。「世界一、文学的で美しい新聞」として、ニューヨークタイムズ日本版でも紹介されたことも。そうそうたる著名人から一般の方まで、ねこ好きによるエッセイやストーリーが掲載されています。

ねこ新聞 公式サイト
http://www.nekoshinbun.com/

「猫のパングル・バン」作者不詳


(ねこ新聞2016年2月号掲載)

『猫のパングル・バン』は九世紀のドイツ写本の余白に書かれた落書きです。作者不詳ですが、きっとよほどの愛猫家だったのでしょう。(和爾)

「ウィギンズ奥様とすてきなねこたち」ケイト・グリーナウェイ画 

いざやガチョウとご対面
一匹残らず解き放たれ
猫らはひらりとうちまたがり
たくみにガチョウを乗りこなす
おびえたガチョウはいちもくさん
ざんぶと海へ飛び込んで
濡れねずみならに濡れた猫
ウィンギンス奥様の猫たちが
「ウィギンス奥様とすてきなねこたち」より


(ねこ新聞2016年4月号掲載)

(ねこ新聞2016年5月号掲載)

(ねこ新聞2016年6月号掲載)

『ウィギンズ奥様とすてきなねこたち』はケイト・グリーナウェイが十七世紀のバラッドに挿絵をつけた珍品で、画風の幅広さを示すものです。(和爾)

いかがだったでしょうか。全6回でお送りしてきた「和爾桃子の世界」もいよいよ最終回となりました。
翻訳者の目線から捉えた、作家性の理解、作品の読み方をご紹介することで、海外翻訳の世界に興味を持っていただけたら幸いです。

(東郷)

■翻訳者・和爾桃子さんへの質問を募集中!

作品について、登場人物や背景について、和爾さん自身について、はたまた翻訳者というお仕事について、和爾さんに聞いてみたいことをホンノワ(掲示板)で募集しています!

和爾桃子さんへの質問箱

※いただいた質問は編集部から和爾さんへお渡しし、当日のトークイベントで取り上げていただく予定です

締切は【2/14(水)23:59まで】

ご投稿、お待ちしています!

■和爾桃子さんプロフィール


英米翻訳家。六歳から十八歳まで、青木正児門下の個人教授に和漢古典の手ほどきを受ける。慶応義塾大学文学部中退。

主な訳書:白水Uブックス・サキ全四巻(白水社)、リアーン・モリアーティ『ささやかで大きな嘘』、ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」、キャサリン・アディスン『エルフ皇帝の後継者』(以上、東京創元社)、バリー・ヒューガート「鳥姫伝三部作」、ロバート・ファン・ヒューリック「狄判事シリーズ」、ポール・ドハティ『白薔薇と鎖』『教会の悪魔』、ジェイソン・グッドウィン『イスタンブールの群狼』『イスタンブールの毒蛇』、
ジョー・ウォルトン『ドラゴンがいっぱい!』、ジャクリーン・ケアリー「クシエルシリーズ」、クリスティン・カショア『剣姫』、ピーター・V・ブレット「護られし者三部作」、ローレン・ビュークス『ZOO CITY』(以上、早川書房)アンドレア・ペンローズ『スペシャリテには罠をひとさじ』(ヴィレッジブックス)、共訳『ナツメグの味』(河出書房新社)など。

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■リンク
藤原編集室

・梅田 蔦屋書店イベントページ「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」

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