ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」や白水Uブックスのサキ四部作など、翻訳家としてご活躍されている和爾桃子(わに ももこ)さんが、2018年3月3日、梅田蔦屋書店のトークイベント「翻訳者と話そう」に登場されます。
◆トークイベント「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」
2018年3月3日(土)19:00〜 (開場18:30)
参加費 1,000円
会場:梅田 蔦屋書店 会議室Shimei(大阪府大阪市北区梅田3−1−3 ルクア イーレ)ご予約は、梅田蔦屋書店さんのホームページから受付中です。関西方面にお住まいの方、この機会にぜひお運びください!
http://real.tsite.jp/umeda/event/2018/01/post-478.html
mail: umeda_event@ccc.co.jpinfo@sioribi.jp
「翻訳者と話そう」は、翻訳家が自身が訳した本について語るというなんとも、魅力的なトークイベント。
■訳者のことばで読む
海外翻訳ファンも多い、本が好き!に向けて、和爾さん自身がこれまでに手掛けられた作品について、作品世界の魅力をご紹介いただきました。
第二回は、アンリ・バンコランシリーズにみる【国際派凝り性の若書き】
ジョン・ディクスン・カー「アンリ・バンコランシリーズ」
海外ミステリー作家として人気の高い、ジョン・ディクスン・カー。その著作のほとんどが翻訳されており、「密室殺人といえばカー」と言われるほど、密室ミステリーを得意としました。そのカーの長編デビー作『夜歩く』を含む、初期の作品に登場するのが、探偵アンリ・バンコランです。
パリ警視庁予審判事バンコランは、貴族的な古典的美貌と知力兼備のダンディ。悪魔呼ばわりされる非情ぶりも、超美貌の天才だからこそのキャラ設定ですね。「ただしイケメンに限る」は永遠の真実です。初期のカーはとにかくチャレンジ精神とサービス精神旺盛。文章もトリックも凝りすぎるほど凝り、舞台は爛熟と頽廃のパリ。山田風太郎好きなら、楽しめることうけあいです。(和爾)
第一巻『夜歩く』冒頭の擬古文はずばり「パリの百鬼夜行」。訳しながらパリの凱旋門と京の羅生門のイメージが重なりました。続く『絞首台の謎』では舞台をロンドンに移して、スコットランドヤードと知恵比べです。第三巻『蝋人形館の殺人』は再びパリ。仄暗い館に蝋人形と死体が同居する令嬢殺害事件。第四作『髑髏城』ではライン河畔の奇城に招かれ、ベルリン警察と対峙。第二次世界大戦前夜の多大な賠償にあえぐドイツと、英米仏との緊張関係も随所にうかがえます。
(和爾)
最終巻『四つの凶器』が2018年秋に刊行予定とのこと!
新訳版でよみがえる、バンコランシリーズの完結編、今から楽しみです。
次回、第三回は、「歴史はおいしい(たまに臭い)」と題して、ポール・ドハティ、ジェイソン・グッドウィン、アンドレア・ペンローズ、ジャクリーン・ケアリーの著書をご紹介します。
■翻訳者・和爾桃子さんへの質問を募集します!
作品について、登場人物や背景について、和爾さん自身について、はたまた翻訳者というお仕事について、和爾さんに聞いてみたいことをホンノワ(掲示板)で募集します!
※いただいた質問は編集部から和爾さんへお渡しし、当日のトークイベントで取り上げていただく予定です
締切は【2/14(水)23:59まで】
ご投稿、お待ちしています!
■和爾桃子さんプロフィール
英米翻訳家。六歳から十八歳まで、青木正児門下の個人教授に和漢古典の手ほどきを受ける。慶応義塾大学文学部中退。
主な訳書:白水Uブックス・サキ全四巻(白水社)、リアーン・モリアーティ『ささやかで大きな嘘』、ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」、キャサリン・アディスン『エルフ皇帝の後継者』(以上、東京創元社)、バリー・ヒューガート「鳥姫伝三部作」、ロバート・ファン・ヒューリック「狄判事シリーズ」、ポール・ドハティ『白薔薇と鎖』『教会の悪魔』、ジェイソン・グッドウィン『イスタンブールの群狼』『イスタンブールの毒蛇』、
ジョー・ウォルトン『ドラゴンがいっぱい!』、ジャクリーン・ケアリー「クシエルシリーズ」、クリスティン・カショア『剣姫』、ピーター・V・ブレット「護られし者三部作」、ローレン・ビュークス『ZOO CITY』(以上、早川書房)アンドレア・ペンローズ『スペシャリテには罠をひとさじ』(ヴィレッジブックス)、共訳『ナツメグの味』(河出書房新社)など。
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■リンク
・藤原編集室
・梅田 蔦屋書店イベントページ「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」