2019年1月22日、2019年の本屋大賞ノミネート作品10作品が発表されました。
今年のノミネート作品はそうそうたる顔ぶれ。そう、粒ぞろいです!!(個人的に)
大賞は4月9日に発表されますが、それまでに読んでない作品をチェックして受賞レース予測を楽しみましょう。
まずは「本屋大賞」とは
「売り場からベストセラーを生み出す」をコンセプトに2004年にスタートした、書店員による投票で選ばれるコンテスト。第一回では小川洋子の『博士の愛した数式』が大賞を受賞。2018年の受賞作、辻村深月『かがみの孤城』はコンビニでも大きくプロモーションされ話題をさらいました。
同じ2018年には「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 ノンフィクション本大賞」もスタート。
全国の書店員が参加する出版界の一大イベントに成長しています。
■本屋大賞ホームページ https://www.hontai.or.jp/index.html
前編では、三浦しをん、平野啓一郎、木皿泉、瀬尾まいこ、森見登美彦の5作品を紹介
とはいっても、ノミネートされているのはどんな作品なのか、どれから手をつけようか、と迷います。
「ノミネート作品を読もう!前編」と称して、まずは5作品を本が好き!の書評とともにご紹介します。
「あ、この作家知っている!」「この作品面白そう」「サスペンスでハラハラしたい」どんな入口からも読書の扉は開かれています。
エントリー作品①『愛なき世界』
書籍:『愛なき世界』
(三浦しをん/中央公論新社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/269844/
ピックアップ書評(アリーマさん)
特に強烈な事件は起きず、ただひたすらに淡々とふんわりほんわりと日々のあれこれが、ただ淡々と続く。なのに穏やかに微笑みながら、450頁を延々読みつづけられる不思議よ!
三浦しをん節で描く理系女子の研究の日々。
今回の舞台はT大(東大がモデル)理学部植物学科だ。大学の研究室という特殊世界は、非常に真摯な世界であると同時に、いろいろな意味でネジが飛んだり緩んだりしている。
そんな世界で生きていく不思議な人々の日々を、ほんわかのほほんと歌い上げていくタッチは『舟を編む』によく似ている。……続きを読む
エントリー作品②『ある男』
書籍:『ある男』
(平野啓一郎/文藝春秋)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/269810/
ピックアップ書評(かもめ通信さん)
人はなぜ「物語」を求めるのか?人はなにを「物語」に求めるのか?
話は過疎化の進む宮崎県のとある町で
木材を伐採中の谷口大祐という人物が事故死したところから始まる。
谷口は数年前にその町に移り住んできた男で
離婚して子ども連れでUターンしていた里枝と結婚し
二人の間に子どもも生まれて幸せに暮らしていたはずだった。生前、彼は老舗旅館の次男坊で両親や兄と折り合いが悪く
実家とは縁を切り二度と帰らないつもりだと言っていたが
亡くなったとあっては連絡しないわけにもいかなかった。訃報を聞いて駆けつけた兄は、遺影をみておどろく。
そこの写っていたのは見ず知らずの男の顔だったのだ。……続きを読む
エントリー作品③『さざなみのよる』
書籍:『さざなみのよる』
(木皿泉 / 河出書房新社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/263204/
ピックアップ書評(darklyさん)
小説デビュー作「昨夜のカレー、明日のパン」の高いハードを超えられるか?
小説デビュー作「昨夜のカレー、明日のパン」が秀逸だったためにこの作者(夫婦)にとって二作目はかなりハードルが高かったと思われます。テーマは似通っておりナスミの死とその周辺の人々のドラマです。物語は末期がんで死にゆくナスミの最後の数日を描く第1章から始まり、第14章までナスミに直接あるいは間接的に絡む人々が主人公となる短編によりナスミの人物像や人生観及びそれぞれの人生について浮き彫りにしていきます。……続きを読む
エントリー作品④『そして、バトンは渡された』
書籍:『そして、バトンは渡された』
(瀬尾まいこ / 文藝春秋)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/262837/
ピックアップ書評(PIOさん)
高校卒業式。生い立ちの複雑な優子に「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」と書いた高校担任教師。著者・瀬尾まいこ自身の息遣いを感じます。
主人公は優子。
小説冒頭は、人生の一大事を控えた優子ちゃんのためにこの八年で、驚異的に増えた得意料理の中からふわふわのオムレツを挟んだサンドイッチにしようと献立を決める場面から。
誰の視点に立っているのかは、まだナゾです。この場面が、最終場面と結びついたとき、ほんとに心がじわんとします。
優子自身の視点に立つ記述は、こんな感じ。
「生まれたとき、私は水戸優子だった。その後、田中優子となり、泉ケ原優子を経て、現在森宮優子と名乗っている。名付けた人物は近くにはいないから、どういう思いで付けられた名前かはわからない。」(本文より)……続きを読む
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エントリー作品⑤『熱帯』
書籍:『熱帯』
(森見登美彦 / 文藝春秋)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/271472/
ピックアップ書評(Yasuhiroさん)
森見登美彦待望の新刊。「誰も最後まで読んだことのない小説『熱帯』」が現実になってしまう可能性があったというメタ的危機を乗り越えて完成した作品。が、モリミン本当に大丈夫か?
我らがモリミンこと森見登美彦の新刊が出ましたので宣伝がてら、というか、是非皆様にも読んでいただき、
モリミンは大丈夫なんだろうか?
と言うところを伺いたく、久しぶりにここでレビューしてみます。
題名は京都とは何の関係もなさそうな「熱帯」。熱帯密林に予約注文しておいたのですが、届いた本を見てびっくり。分厚い!
なんと523Pもある。こんなもん持ち歩けるか!と思いましたが、さすがモリミン、ページターナーです。あちこち持ち歩いて、ずんずん読まされてあっという間に読了してしまった。……続きを読む
残りの5作もご紹介していきますので、お楽しみに!
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本が好き!編集部 東郷