こんにちは。本が好き!編集部の東郷です。
2018年10月の人気書評ランキングを発表します。
(同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載。つまり2018年10月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています!)
1位
書籍:『新装版 幸福の王子』
(オスカー・ワイルド/バジリコ)
レビュアー:darklyさん 得票数:58
書評掲載日:2018-10-03 22:07:32
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269809/review/213696/
見せかけの「幸福の王子」が銅像となって真の「幸福の王子」となる物語。
曽野綾子訳のオスカーワイルド「幸福の王子」です。
秋になり暖かいエジプトに行き遅れた少し利己的なつばめは「幸福の王子」像の下で一夜を明かそうとしていた。雨でもないのに雫がつばめに落ちる。「幸福の王子」が泣いていた。
生前宮殿の中で何不自由なく生涯を終えた「幸福の王子」は銅像となって街の哀しみに気づく。不幸な人々に自分の像に埋め込まれた宝石や金箔を困っている人々に持って行って欲しいとつばめに頼む。
越冬するため早くエジプトに向かわなければならないつばめだが「幸福の王子」の心に打たれて一日、また一日と人々のために運ぶ。つばめの心は暖かくなる。……続きを読む
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2位
書籍:『漱石の長襦袢』
(半藤末利子/文藝春秋)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:49
書評掲載日:2018-10-10 06:41:21
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/267302/review/212903/
「しみじみとした人柄を感じさせる文章を読んだからといって、それを書いた人がよい人だなんて思っちゃいけません。」「いいですか、皆さん、文章と人柄は別なんですよ。」
ご存じない方もおられるかもしれないので、念のために最初にお断りしておくが、私は漱石が苦手である。
どれぐらい苦手かと言えばおそらく「嫌い」と言い切ってもいいぐらいだと長い間ずっと思ってきた。
そんな私が、あれやこれやの漱石作品や、その関連本を読むようになったいきさつは、以前、『父・夏目漱石』のレビューで紹介させていただいたことがあるのでここでは割愛することに。……続きを読む
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3位
書籍:『冷たい家』
(JP.ディレイニー/早川書房)
レビュアー:yukoさん 得票数:43
書評掲載日:2018-10-20 19:42:53
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270487/review/215021/
この家に住む女性たちには次々と災いが・・・ この家の建築家が原因?この家自体が原因?
ミニマリストで完璧主義者の建築家、エドワード。
彼が手掛けた、最先端のテクノロジーによって制御された立方体の不思議な建物、フォルゲート・ストリート一番地。ここに住みたければ、山ほどある規約に従い、
エドワードの厳しい審査をパスしなければならない。相当変わったこの簡潔さが追求された家に住むことになったのは、
エマ-過去、
そして、ジェーン-現在。……続きを読む
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4位
書籍:『文学賞メッタ斬り!』
(大森望、豊崎由美/PARCO出版)
レビュアー:efさん 得票数:39
書評掲載日:2018-10-17 04:57:17
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/153829/review/214661/
あの文学賞ってこういう賞だったのか~
世間には数多くの文学賞があるそうです。
トヨザキ社長曰く、その数「日本全国で500は超える」とか。
それぞれの賞にはそれぞれの違いがあるわけですが、私はあまりよく知りません。
まぁ、芥川賞が純文学作品を対象にし、直木賞が大衆文学(こういう言い方今はしないね)を対象にしているという程度は聞きかじっておりますが、でも、実際に選ばれている作品をみると、「そんなに厳密に分けてるか?」と思ったり、回によっては「芥川賞と直木賞、逆なんじゃないの?」なんて思ったりすることもあります。……続きを読む
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5位
書籍:『日本の小さな本屋さん』
(和氣正幸/エクスナレッジ)
レビュアー:三太郎さん 得票数:38
書評掲載日:2018-10-06 21:08:05
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/267572/review/213923/
誰にでも思い出の本屋さんがあるだろう。僕の場合は、小中時代に通った近所の普通の小さな本屋さんと、むかし仙台駅前の裏通りにあった「八重洲書房」かな。
若い頃の本屋さんにまつわる記憶を辿ると、近所の町の本屋さんが最初の記憶で、中学生のころ天文少年だった僕は毎月「天文ガイド」を買いに行っていた。学生時代は仙台市内の大きな本屋さんは大体は通っていたが、仙台駅前の裏通りにあった「八重洲書房」は特別だった。人文科学系に特化した本屋さんだったような記憶がある。僕は化学専攻の学生だったが、化学は本を読んでやる学問ではないから、僕が本屋を訪れるのは、人文科学系の面白い本を読みたいからだった。山口昌男や網野善彦の本に出会ったのもその本屋さんだったろうか。……続きを読む
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6位
書籍:『ぼくがスカートをはく日』
(エイミポロンスキー/学研プラス)
レビュアー:oldmanさん 得票数:38
書評掲載日:2018-10-05 21:49:19
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269513/review/213859/
ああ! 僕はLGBTを全然理解していなかったのだ。いや「理解しているいるつもり」だけだったのだ。己の無知を痛感した。LGBTというものをもっときちんと理解しなくてはいけないのだ……僕も……あなた方も……
グレイソンは12歳 いつも彼は自分の姿を見下ろして「こんなズボンじゃなくて、これがスカートだったら……」と夢想する。
そう 彼はトランスジェンダーなのだ。
幼い頃両親を事故で亡くしたグレイソンは伯父夫婦に引き取られ過ごしてきた。自分の気持ちを抑えつけて、男の子として過ごしてきた。
自分の本当の気持ちを隠し、金色のドレスを着た自分を想像しながら……。ある日学校で演劇のオーディションが開かれる事を知ったグレイソンは、思いきって応募する。……続きを読む
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7位
書籍:『数学は歴史をどう変えてきたか: ピラミッド建設から無限の探求へ』
(アンルーニー/東京書籍)
レビュアー:あかつきさん 得票数:37
書評掲載日:2018-10-24 09:42:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/209714/review/174423/
うっっっつくしい本です。本屋でぱらぱら見て、一目ぼれして購入しました。購入してから気づきました。私、中学生の時から、数学は大っ嫌いだったわ……(笑)。
「数を数える」ということを人類ができるようになったのは、いつのことだろう。
幼児は2歳程で数を数え始める。
カラスは6まで数を数えることができると聞いたことがあるが、ネアンデルタール人は数えることができたのだろうか。
ラスコーの洞窟に壁画を描いたクロマニョン人たちは、あの動物たちを数えながら描いたのだろうか。
力の弱い人類が狩りをするとき、1対1で動物と相対するより1頭に多数で向かう方が効率が良いに決まっている。
「1」と「多数」の概念が、まず生まれる。
そして、捕った獲物を分配するとき、全ての人に分配できるように等しく分ける必要が出てくる。
きっと、その時、人類は「数」を手に入れたのだろう。……続きを読む
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8位
書籍:『ベルリンは晴れているか (単行本)』
(深緑野分/筑摩書房)
レビュアー:Wings to flyさん 得票数:34
書評掲載日:2018-10-01 17:14:01
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269524/review/213535/
「善きドイツ人も民間人も関係なく、自分の国が暴走するのを止められなかったのは、あなた方の責任です。」 憎悪と敵意に支配されない未来への、祈りのこもった作品である。
1945年の夏、17歳のアウグステは米軍の食堂で働いている。肌身離さずにいる鞄の中には、両親の愛に包まれて育った過去とつながる唯一の品物、ケストナーの『エーミールと探偵たち』英語版が入っている。反ナチを貫いた彼女の両親は、同胞に殺された。
英米ソ仏4か国連合軍の統治下にある、敗戦直後のベルリン。瓦礫の町にひとりで生きる少女の数日が、とある殺人事件と絡めて描かれる。しかし、本書はミステリーとして読むべきではないように思う。幕間にはアウグステの過去が挟み込まれ、これが実に胸迫る物語なのだ。……続きを読む
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9位
書籍:『リンカーンとさまよえる霊魂たち』
(ジョージ・ソーンダーズ/河出書房新社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:34
書評掲載日:2018-10-03 15:39:31
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269796/review/213671/
リンカーンの幼い息子の死にまつわる、賑やかな幽霊譚
1862年2月、南北戦争中のアメリカで、1人の少年が病で世を去る。
ウィリー・リンカーン、時の大統領エイブラハム・リンカーンの愛息だった。
リンカーン大統領は激しく嘆き、息子の遺体が安置された納骨所で長い時を過ごしたという。
戦争の最高司令官である彼が、愛する肉親を失ったとき、その胸に去来していたものは何か。
これは、リンカーンが息子の死を悼み納骨堂に籠ったというささやかな実話を元に、彼の内面に分け入ろうとするフィクションである。……続きを読む
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10位
書籍:『響~小説家になる方法~』
(柳本光晴/小学館)
レビュアー:マックさん 得票数:34
書評掲載日:2018-10-11 11:38:32
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/235788/review/212724/
徳島県民にしか解らないであろう胸熱ポイントが多数!これは徳島県民による、徳島県民の為の漫画だ!!
本書を知ったきっかけは、地元徳島新聞の特集記事でした。
『地元出身の漫画家・柳本光晴さんの作品が漫画大賞に選ばれた』という華々しいもので、ワクワクしながら読み進めていくと・・・・・・
特集の中心は内容ではなくて、登場人物たちの名前や学校名!
【主人公の鮎喰響の苗字を、全国の読者は『あくい』と読めないらしい】
という事実に、まず驚き。
徳島では読めない人を探す方が難しいんですが!……続きを読む
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