【本が好き!ランキング】今週は3冊が同率1位!ネイチャーライターによるムクドリへの愛ある観察記録『モーツァルトのムクドリ』、生命の謎に“死”から迫る『動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話』、17世紀オランダを舞台にしたミステリ『翼竜館の宝石商人』がランクイン!


こんにちは。本が好き!編集部の東郷です。
今週は3タイトルが同率1位、という珍事が発生!どの本も魅力的なのでタイトルが長くなりました。
ランキング入りした顔ぶれには、エンタメあり、ミステリあり、図書館で読んだ後、手元に置きたくて文庫版を買ったという思い入れのある物語があり。
レビューを楽しみながら、秋の読書にぴったりの1冊を見つけてください。

では、2018年10月29日~2018年11月4日の人気書評ランキングを発表します。

1位
モーツァルトのムクドリ
書籍:モーツァルトのムクドリ
(ライアンダ・リン・ハウプト/青土社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:31
書評掲載日:2018-10-29 05:08:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269468/review/215439/
 

「鳥好き+モーツァルト好き」には◎、「モーツァルトはいまいちだけど音楽は好きで鳥も苦手ではない」または「音楽には興味がないけれど鳥や動物が好き」には○、「鳥は苦手」という人にはあえてお勧めはしない。

タイトルに惹かれて手にした本。
といっても鳥好きの私が惹かれたのは「モーツァルト」ではなく
「ムクドリ」の方だったりする。

実をいうと読み始める前は、
“愛鳥と一緒に過ごした日々”といった感じの、
ちょっと感傷的な物語風の本だろうと勝手に思い込んでいたのだが、
その予想は大きくハズレることになる。

著者は北米で野生生物の保護活動などにも携わるネイチャーライター。
その著者が“自宅のリビングで愛情たっぷりにホシムクドリを育てている”と
告白するのは勇気がいることだった。
なぜなら、環境保全の世界ではムクドリは間違いなく
「北米1嫌われている」害鳥だから。……続きを読む

—————————

1位
動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話 ──生き物たちの終末と進化の科学
書籍:動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話 ──生き物たちの終末と進化の科学
(ジュールズ・ハワード/フィルムアート社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:31
書評掲載日:2018-10-30 09:58:59
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270748/review/215580/
 

「死」から考える生物学

生物とは何だろうか。それは生きているものである。
「生きている」とは何かといえば、一般には、「自己と外界を分ける境界があること」「エネルギーや物質を代謝すること」「自己複製すること」などの特徴が挙げられる。英語圏では運動(Movement)、呼吸(Respiration)、感覚(Sensitivity)、成長(Growth)、再生・生殖(Reproduction)、排泄(Excretion)、栄養(Nutrition)の7つの現象での定義があり、頭文字を取ってMRS GREN(グレン夫人)とも称される。
けれども、突き詰めて、一体生きているって何なのかというと、実のところ曖昧で未整理な部分も多い。
ウイルスは生きてるの? 生殖が必須の条件だとしたら、生殖能力がない交雑種のラバは死んでるの?
本書はそんな生命の謎に「生」と対極の「死」から迫ろうとするものだ。……続きを読む

—————————

1位
翼竜館の宝石商人
書籍:翼竜館の宝石商人
(高野史緒/講談社)
レビュアー:darklyさん 得票数:31
書評掲載日:2018-11-01 20:17:16
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270731/review/215555/
 

史実と虚構を織り交ぜた味わい深いミステリー。西洋の歴史が苦手な私でもすっと入っていけました。

以前「カラマーゾフの妹」を読んで注目していた作家の新刊をなにかの情報で知って読んでみました。

舞台は17世紀のアムステルダム。汚れた運河の水は悪臭を放ち、衛生状態が悪くペストの恐怖に怯える人々が暮らす街。この街に奇妙な噂が流れていた。市庁舎の廊下を隻眼の王の亡霊が夜な夜な絵画から抜け出し彷徨い歩くという。王は古代ローマ時代の英雄クラウディウス・キウィリス。絵画の作者はレンブラント・ファン・レイン。
レンブラントの息子で画家でありまた画商でもあるティトゥス・ファン・レインはその市庁舎でフェルナンド・ルッソ、通称ナンドと出会う。……続きを読む

—————————

4位
きらいになれない害虫図鑑
書籍:きらいになれない害虫図鑑
(有吉立(アース製薬研究開発本部生物飼育課課長)/幻冬舎)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:29
書評掲載日:2018-11-02 09:28:23
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269877/review/215748/
 

♪ムカデだって マダニだって ゴキブリだって みんなみんな 生きているんだ (・・・・友達にはなれないかもしれないけど)

なかなかインパクトのあるタイトルである。
著者は害虫駆除の一般薬を開発・販売するアース製薬に勤務する女性である。彼女の仕事は何かといえば、研究開発に用いる害虫を飼育・調達すること。
薬品を販売するには、効能を証明するデータがいる。これを元に厚生労働省に申請し、認可を得て市場に出すわけである。「来年の夏に売り出そう」と思ったら、逆算してそれまでにこれこれの試験をしておかなければならないというのがある。
実験部門から、「幼齢期のクロゴキブリを来週中に300匹」とか「薬剤耐性のチャバネゴキブリ、雌だけで200匹」とか要請を受けて、虫を供給するのが彼女たち飼育部門の人々の役割なのだが、得てしてこの依頼が、ぎりぎりに来る。そんな無茶な!という大量の虫の要望にもなるべく応えられるように、使用されそうな害虫を、常日頃から十分量で飼育しておくのが腕の見せ所である。
そんな業務の中で得られた害虫たちの生態や特徴などを「楽しく」まとめたのが本書である。……続きを読む

—————————

4位
火のないところに煙は
書籍:火のないところに煙は
(芦沢央/新潮社)
レビュアー:darklyさん 得票数:29
書評掲載日:2018-10-29 20:21:36
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/266802/review/215405/
 

小粒だが一粒で二度美味しいなかなか楽しめるホラー短編集。ホラー好きなら読んでも損はない。

初めて読む作家です。内容もホラーということですら知りませんでした。芦沢さん自身が小説上の作家となりこの短編集ができるまでの過程をドキュメンタリー風にした連作短編集です。

【染み】
角田(女性)は恋人の銀行員と共に結婚の相談をするためある占い師の元を訪れる。結婚しない方が良いと言われた彼は逆上し、彼の本当の人格を知った角田は別れようとするが「別れたら死ぬ」系の男で困っていたところ、ある日男は事故死する。そして広告代理店に努める角田の担当した広告に謎の染みが。そして角田も。
……続きを読む

—————————

6位
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ
書籍:チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ
(海堂尊/宝島社)
レビュアー:あかつきさん 得票数:28
書評掲載日:2018-11-01 19:47:06
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/24680/review/175044/
 

「麻酔科ローテートした後に読んでみろよ」とその男は嗤って言った。

はい、懐かしい海堂のデビュー作。この本が出版されたのは研修中の時でした。
こんなこと書くと年齢がばれますが、わたしは臨床研修義務化の2年目にあたります。
臨床研修制度っつーのは今なお厚労省が迷走していますが、当時はとにかくローテートしなければいけない必修科が多くってさ。その上ただでさえ診療科が多い大学病院で研修したから毎月毎月診療科が変わるようなもんでした。しかもそれが1X年後現在役に立っているかと聞かれると、全く役に立ってはいないっつーね。……続きを読む

—————————

7位
魔術師ペンリック (創元推理文庫)
書籍:魔術師ペンリック (創元推理文庫)
(ロイス・マクマスター・ビジョルド/東京創元社)
レビュアー:休蔵さん 得票数:26
書評掲載日:2018-11-01 14:22:58
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270255/review/215212/
 

力を得るということ。

その気持ちはしばしば妬みにまで発展する。
 突出の背景はさまざまで、スポーツが万能であったり、頭の回転が速かったり、記憶力が良かったりといった個人的な能力のこともあれば、その人が生まれついた出自に起因することもある。
 運が作用することも多い。
 しかしながら、その能力が魔術であった場合、その受け止め方は人それぞれのようだ。……続きを読む

—————————

7位
星に願いを、月に祈りを
書籍:星に願いを、月に祈りを
(中村航/小学館)
レビュアー:波津雪希さん 得票数:26
書評掲載日:2018-11-03 01:02:09
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/192551/review/215796/
 

不思議なラジオ番組に纏わるストーリー。

児童館のイベントのウオークラリーで小学生の
リーダーをしている麻里は去年、イベントに参加していなかったので
ホタルを見ることができなかった。
それを気にしてか、大介は毬を庇うような発言をする。
この時点から暫くは、大介と麻里のことを
描いた小説だと思っていました。……続きを読む

—————————

7位
中国が愛を知ったころ――張愛玲短篇選
書籍:中国が愛を知ったころ――張愛玲短篇選
(張愛玲/岩波書店)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:26
書評掲載日:2018-11-01 05:57:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/261623/review/215585/
 

この美しさはどこからくるのか?!ありがとう #日本翻訳大賞 !!熱く推薦してくれる方がいなかったらきっと手に取らなかったであろう本なだけにことさら出会いがうれしい。

張愛玲(ちょう あいれい/アイリーン・チャン)が、
日清戦争の講和条約である下関条約で清側の全権大使となり、
調印を行ったことでも知られる李鴻章の外曾孫という名家の出で、
1940年代にデビューして人気を博した作家であり、
やがてアメリカに渡り、かの地で不遇の死を迎えたという話は、
どこで聞きかじったのかは定かではないがなんとなく知っていた。……続きを読む

—————————

7位
ロードス島攻防記
書籍:ロードス島攻防記
(塩野七生/新潮社)
レビュアー:barbarusさん 得票数:26
書評掲載日:2018-10-30 12:48:50
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/60508/review/215443/

偉大なる「旧き者」たちの軌跡。

エーゲ海に浮かぶ”薔薇の花咲く”その島は、
栄光ある”キリストの戦士たち”の砦であり、
邪悪なる”キリストの蛇ども”の巣であり、
”青き血”を持つ者たちの住処だった。

”解放者”として敬われつつ戦い、
”略奪者”として厭われつつ戦い、

世界を守る”防壁”として、
世界を分つ”障壁”として、

そびえ立った、
男たち。
しかし、……続きを読む

—————————

7位
中野のお父さん
書籍:中野のお父さん
(北村薫/文藝春秋)
レビュアー:はなとゆめ+猫の本棚さん 得票数:26
書評掲載日:2018-10-31 06:01:56
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270767/review/215620/

…本が愛され、価値があった時代のお話

主人公の文芸編集者、美希が遭遇する謎の出来事や事件を、定年直前の博識高校教師である美希の父が解決する短編集。

私の小さいころは、本が一番輝いていた時代だったのだが、肝心な本屋が無かった。本屋は、注文をとった本や、定期購読の雑誌を5キロの道のりを自転車に積んで、毎週月曜日に村に届けてくれた。

私の家では父が週刊朝日を買い、姉が「なかよし」私が「少年画報」を買ってもらっていた。発売日がわからなかったので、月曜日が近付くと胸がどきどきした。だから、配達の無かった日は本当にがっかりした。……続きを読む

—————————

12位
黒後家蜘蛛の会3【新版】
書籍:黒後家蜘蛛の会3【新版】
(アイザック・アシモフ/東京創元社)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:25
書評掲載日:2018-11-02 11:48:21
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/267919/review/214880/
 

謎解きはディナーと共に~自分大好きアシモフが ちらりと登場

特許弁護士、暗号専門家、作家、有機化学者、画家、数学者。いずれも専門分野を持った面々が女人禁制で集まる黒後家蜘蛛の会では、毎回ゲストを招いて美味しい料理と知的な会話を楽しむ。しかしゲストが謎で悩んでいると打ち明けると、会話はにわかにそちらに集中し…。
「名探偵 一同集めてさてと言い」などという言葉もあるが、本シリーズの名探偵は皆を集める必要はない。なぜならば最初から皆がいる場所で推理を開陳すれば良いからだ。……続きを読む

—————————

12位
代体
書籍:代体
(山田宗樹/KADOKAWA/角川書店)
レビュアー:ことなみさん 得票数:25
書評掲載日:2018-11-02 15:40:36
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/239860/review/215768/
 

今から10年後、医療技術が進んで、脳から意識だけを取り出すことができるようになった。病んだ、壊れた肉体から一時離れることができるという、身近な誰でも持つような思いが理解できるようなSF小説。

この作者には「百年法」という前作があって、これは長いのでこちらから先に読んだ。作風をちょっと覗いてみるつもりだったが、荒唐無稽とも言い切れない、少し身近に引き寄せて現実に照らしてみるとこのSFの面白さがわかった。

意識を取り出せるということになったらメリットはなんだ。
それから話が始まる。……続きを読む

—————————

12位
家守綺譚
書籍:家守綺譚
(梨木香歩/新潮社)
レビュアー:efさん 得票数:25
書評掲載日:2018-10-30 05:20:54
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/2374/review/215565/
 

やっぱりこの作品、たいそう好きだなぁ

既にハードカバー版でレビューしている作品です。
最初は図書館からハードカバーを借りてきたのです。
とても良かった。
その後しばらく、自分の中で熟成していって、やっぱりこの本は手元に置いておきたいと思い、文庫版を買いました。
そういうこと、時々あります。
図書館から借りてきた本で、とても良かった本は買ってしまうということ。
本作も、そんな一冊です。……続きを読む

—————————

15位
エヴリデイ
書籍:エヴリデイ
(デイヴィッドレヴィサン/小峰書店)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:24
書評掲載日:2018-10-29 00:12:02
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270707/review/215518/
 

ジュリエットはたとえ相手がロミオという名前でなくても愛すると言う しかしもし次の日ロミオが外側マキューシオ、内側ロミオで現れたら?

恋に障害はつきものだ。フィクションの恋愛小説を読む時も、障害があればこそドラマが盛り上がり、読者は熱心に読みふける。相手が好きならば、性別も、人種も、年齢も、経済格差も、全て乗り越えられる。これは誰しもが想い描く理想の恋愛だ。……続きを読む

—————————

フォローする