こんにちは。本が好き!編集部の東郷です。
4/1に新元号が発表されました。
元号が変わると、混乱しがちなのが、西暦とそれに相当する元号の年数。
・昭和の年数:西暦の下2ケタ―25
・平成の年数:西暦の下2ケタ+12
・令和の年数:西暦の下2ケタ―令和(018)
と計算すれば、簡単なのだそうです。覚えやすいですね。
それでは、
2019年3月の人気書評ランキングを発表します。
(同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載。つまり2019年2月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)
1位
書籍:『トラウマ文学館』
(直野祥子、原民喜、李清俊、フィリック・K・ディック、筒井康隆、大江健三郎、深沢七郎、フラナリー・オコナー、ドストエフスキー、白土三平、夏目漱石、ソルジェニーツィン/筑摩書房)
レビュアー:darklyさん 得票数:41
書評掲載日:2019-03-20 21:58:29
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/275744/review/223937/
とても面白いアンソロジー。残虐系のトラウマではなく精神的に嫌な感じの話が多いのだが、嫌な感じで終わらず色々と考えさせられる。
題名の通り、読んでトラウマを負った、あるいはトラウマを負いそうな作品のアンソロジーです。中身は漫画あり、ディックや筒井康隆などのSF 系、ドストエフスキー(「カラマーゾフの兄弟」の一部)、夏目漱石(「吾輩は猫である」の一部)、大江健三郎、原民喜などの純文学系とバラエティに富み、ちょっと今まで読んだことがない構成の作品集となっています。
同じ読書好きと言っても好みは様々ですが、読書に人は実はトラウマを求めているという部分はあるのではないかと思います。本を読んで良くも悪くも衝撃を受け、物の考え方や精神的に影響を受けるというのは広義のトラウマと言えるのではないかと思います。筋トレによって傷ついた筋肉が再生過程で太くなっていくように、色々な本を読むことによって私たちは精神的な筋トレをしているのかもしれません。
この作品集は狭義のトラウマ、つまり主に嫌な感じの作品集なのですが、なかなか粒ぞろいで読み応えがありました。……続きを読む
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1位
書籍:『ぼくは本を読んでいる。』
(ひこ・田中/講談社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:41
書評掲載日:2019-03-13 06:23:51
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/274197/review/223317/
タイトルと装丁から、てっきり、本が大好きな少年の話だと思っていた。そうでなければ、その逆で、本なんか大嫌いだったのに、本を読む羽目になった男の子の話とか。けれども、読んでみたらそのどちらでもなかった。
主人公のルカは小学5年生の男の子。
とあるきっかけで、普段は滅多に入らない両親の書斎「本部屋」に足を踏み入れた。
といっても別に両親から「入ってはいけない」といわれているわけではない。
用がないから入らないだけだ。
なぜってその部屋には本棚にぎっしりと、ルカにはその背表紙のタイトルも満足に読めないような難しそうな本が並んでいたから。だがたまたま目に入った紙カバーに包まれた5冊の本がルカの注意を引く。
興味本位で1冊を手に取ると、両親のどちらかがかつて読んだ本だろう、とても古い本だった。
題名は『小公女』。
残してあるということはたぶん今でも好きな本なんだろう。
ルカは両親には内緒でその本を読むことにした。……続きを読む
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3位
書籍:『「アメージング・グレース」物語―ゴスペルに秘められた元奴隷商人の自伝』
(ジョンニュートン/彩流社)
レビュアー:ことなみさん 得票数:39
書評掲載日:2019-03-17 13:34:28
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/275666/review/223775/
「アメージング・グレース」という哀調を帯びた美しい歌は誰がどこで作ったのか。賛美歌集の中にあって、貧しく、中には文字が読めない人々のために、神を賛美し信仰に導き聖書を深く理解するために作られたという。
第一部は「アメージング・グレース」がどうしてできたか
作詞者のニュートンは赴任先のオウルニィーの教会で聖書の言葉を詞にして説教に使った。わかりやすく創世記から順に讃美歌にして聖書を易しく解説したものを作った。
その中で「アメージング・グレース」は41番目に出てくる。……続きを読む
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4位
書籍:『秘密の花園』
(フランシス・ホジソンバーネット/新潮社)
レビュアー:茜さん 得票数:38
書評掲載日:2019-03-18 20:04:24
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/238370/review/223867/
英国、大邸宅、庭園と私のツボを押すキーワードが満載です。
〈十歳にして両親を亡くし、親戚に引きとられたメアリ。顔色も悪く愛想のない彼女を唯一楽しませたのは、隠されるように存在する庭園だった。世話役のマーサの弟で、大自然のなかで育ったディコンに導かれ、庭園と同様にその存在が隠されていたいとこのコリンとともに、メアリは庭の手入れを始めるのだが――。三人の子どもに訪れた、美しい奇蹟を描く児童文学の永遠の名作を新訳。〉(以上、引用)
酒井駒子さんの装丁画と題名に惹かれて読んでみました。題名だけでも読む気をそそられるのに可愛い装丁画となれば読むしかないw
読み進んで行くと英国、大邸宅、庭園と私のツボを押すキーワードを想像するだけで若葉の匂いがしてきそうだ。
特にメアリが打ち捨てられていた庭園の扉を開けた時はすごく心地よい匂いがしただろうなぁと思った。……続きを読む
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5位
書籍:『文系と理系はなぜ分かれたのか』
(隠岐さや香/講談社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:37
書評掲載日:2019-03-22 17:38:07
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/269396/review/224097/
「文系」「理系」を歴史から考える
日本では大学の専攻を「文系」「理系」に分けるのが一般的である。理系を目指すか文系を目指すかで、受験勉強の内容も変わる。
だが実は、この二元的な分類は日本特有のものである。アメリカでは主専攻のほかに副専攻を選ぶことができ、文・理を超えた自由な選択が可能な場合もある。フランスの大学入試バカロレアは、人文系、経済・社会系、科学系の3つに分かれている。
日本では、いつ、どのように、この「文系」「理系」の区分が生まれていったのか。
本書は、西欧における諸学問の成立や日本の近代化の過程をたどることで、その歴史的背景を探り、また、受験や就職活動、研究の学際化等の問題も考察する。……続きを読む
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6位
書籍:『ギリシア神話を知っていますか』
(阿刀田高/新潮社)
レビュアー:m181さん 得票数:35
書評掲載日:2019-03-18 20:08:06
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/50865/review/223849/
いつも、この手の本は、神話のあらすじが固くて、すんなりと入っていかないのだけど、これは違った。物語に、きちんとキャラがついていて動きがリアルだ。
映画やお芝居、小説の比喩として、ギリシャ神話が、よく、登場する。
オイディプスの血、アリアドネの糸、パンドラの壷(箱)・・・
ギリシャ悲劇・・・
よくわからずに、納得していた。だが、知りたいと思った。で、ある人にすすめられて、この本を読みました。
本書は、12の章から構成されていて、11個の神話の紹介とまとめ(概観)のような形になっています。……続きを読む
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6位
書籍:『ハッキリ言わせていただきます! 黙って見過ごすわけにはいかない日本の問題 (単行本)』
(前川喜平,谷口真由美/集英社)
レビュアー:風竜胆さん 得票数:35
書評掲載日:2019-03-18
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/275361/review/223842/
本書でも批判されていますが、「星野君の二塁打」って、どこが道徳教材なんやねん!!
本書は、元文部科学省の事務次官・前川喜平氏と大阪国際大学准教授の谷口真由美氏の対談を本にしたものである。内容を一言で言えば、政治家に対する批判や今の教育に対する批判。
学校に、変な校則や規制が多いのは私も同意だ。例えば、髪の毛。地毛が茶色でも黒く染めさせるということはよく聞くが、私も高校の頃、少しでも髪の毛が長くなると、教師に文句を言われた(まあ無視はしていたが)。髪の毛の色や長さなんて、教育にはまったく関係ないだろうと思う。……続きを読む
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8位
書籍:『水木しげる 鬼太郎の天国と地獄』
(水木しげる/小学館)
レビュアー:休蔵さん 得票数:33
書評掲載日:2019-03-25
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/152343/review/223995/
子どものころによく読んでいた水木しげるの妖怪百科シリーズの1冊。古今東西の死後の世界を紹介。似て非なるものばかりだが、どこかおどろおどろしい雰囲気は共通する。水木しげるの絵のせいか・・・
子どものころによく読んでいた水木しげるの妖怪百科シリーズの1冊で、本作は古今東西の死後の世界を紹介している。
似て非なる死後の世界が描かれているが、天国すらおどろおどろしい雰囲気を纏っているのは、水木しげるの絵のせいなのか。
いきなりおどろおどろしい描写で驚かせては悪いとでも思ったのだろう、最初は鬼太郎の「死人列車」でご挨拶。さて、日本人のイメージとして流布している死後の世界は、985年に源信が著した『往生要集』による。
そして、本書は『往生要集』の世界観を具体化してくれた。……続きを読む
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8位
書籍:『ツクツク図書館』
(紺野キリフキ/メディアファクトリー)
レビュアー:波津雪希さん 得票数:33
書評掲載日:2019-03-15
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/198846/review/223626/
世にも不思議な図書館お話。
ある私立図書館の募集を見てきた女。
名前はなく?筑津区にあるから『ツクツク図書館』と呼ばれている。
その図書館の募集している仕事は、本を読むこと。
人に本を読み聞かせるのかと思ったら、ただ単に本を読むこと。
本を読むだけでお金が貰えるなんて、読書好きなら
一石二鳥だと思うのは、罠にはまったも同然。
『ツクツク図書館』は、誰も見向きもしない
つまらない本しかない。……続きを読む
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10位
書籍:『ある男』
(平野啓一郎/文藝春秋)
レビュアー:rodolfo1さん 得票数:32
書評掲載日:2019-03-08
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/269810/review/223174/
宮崎県である男が仕事中に事故で死ぬ。実はその男は、触れ込み通りの男ではなかった。在日三世の弁護士城戸は、その男の実態に迫り、自らの人生への葛藤を伴いながら、結果驚くべき事実に遭遇する。
平野啓一郎作「ある男」を読みました。
冒頭は平野先生と覚しい小説家が、城戸という弁護士とバーで知り合うところから始まります。彼の語る名前と経歴は全て実は嘘でした。相手が小説家であると知った城戸はその嘘を謝ります。自分は他人の傷を生きることで自分自身を保っている、と言います。実はこの小説の登場人物はほとんどがこの調子です。いつも別の自分が存在するのです。……続きを読む
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