1位
書籍:『82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)』
(チョ・ナムジュ/筑摩書房)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:41
書評掲載日:2019-04-10 05:28:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/272226/review/223778/
物語そのものには救いはない。それでも、この物語を自分のものとして受け止める多くの読者がいることに救いを見いだす。
女が女であるというだけの理由で、
人生で出会う困難や差別を描き、
多くの共感を得て、本国で100万部を突破、
映画化も決定しているという韓国のベストセラー小説。
ちなみに韓国では100万部を突破した小説は
同作を含めて3作しかないのだとか。
そう聞けば「社会現象」だといわれているのもうなずける。この本が、今、ホンヤクモノスキーの間で最も注目されている翻訳家
斎藤真理子さんの翻訳で日本でも出版されると聞いたときから
読もうと決めてもいた。続きを読む
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2位
書籍:『その先の道に消える』
(中村文則/朝日新聞出版)
レビュアー:darklyさん 得票数:34
書評掲載日:2019-04-09 21:17:34
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271664/review/225001/
中村文則さんの昔の作品に戻ったかのような
緊縛師が殺された。刑事は捜査を始める。手がかりは被害者の手帳にあった刑事の知り合いの女性の名刺。それをきっかけに開かれるSMの世界。やがてYという男が事件の鍵を握っていることに刑事は辿り着く。
一応殺人事件が起こり刑事たちが捜査を行うというミステリ仕立てにはなっていますが、中村さんの小説らしくそこに主題はなく、あくまでも人間の内面の物語となっています。中村さんの最近の著作である「教団X」や「R帝国」は私の中での評価はかなり低く本作品も読もうか迷ったのですが結果的には読んで正解でした。……続きを読む
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2位
書籍:『戦後史の決定的瞬間: 写真家が見た激動の時代』
(藤原聡/筑摩書房)
レビュアー:ことなみさん 得票数:34
書評掲載日:2019-04-20 22:37:31
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/276636/review/225597/
常に最前線にいて決定的瞬間を目撃したかれらの証言を集めると、それは自ずから臨場感あふれる戦後史になるのだ。
何かを調べていて写真家細江英公さんの、舞踏家土方巽を写した鬼気迫るようなシュールで美しい写真に衝撃を受けた。もう一度確認したいとネットで調べてみると、この方はあの三島由紀夫の「薔薇刑」を写した人だった。
写真は形だけでなく「人」の内面を写しとるものだと改めて感銘を受けた。どういうルートだったか、この本を読もうと思った。キャパの記事を読んだ後だったか、リストにいれていた。……続きを読む
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4位
書籍:『桜の森の満開の下』
(坂口安吾/青空文庫)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2019-04-19 19:17:05
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/203830/review/225546/
舞い狂う花吹雪。雪のように散る花びらの下にあるものは何か。
坂口安吾の短編。
桜の花は人を狂わせるという。
鈴鹿の山中に桜の森がある。
その山に、いつしか山賊の男が住み着いた。
男は残虐な性質で、情け容赦なく道行く人々から金品を奪い、時には殺した。気に入った女があればさらってきて女房にした。時を経て、もう女房は7人にもなっていた。……続きを読む
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4位
書籍:『豊饒の海 全4揃』
(三島由紀夫/新潮社)
レビュアー:Yasuhiroさん 得票数:32
書評掲載日:2019-04-20
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/276540/review/225442/
三島由紀夫流美学と思索の総決算。全身全霊を傾けて「究極の小説」を書きあげた三島は、その脱稿を以て書と現実双方で自らを葬った。
天才三島由紀夫の「豊饒の海」四部作です。自身の解説によればこの小説は「浜松中納言物語」を典拠とした夢と転生の物語で
『春の雪』『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』
の全4巻から成ります。三島が最後の最後に目指した「世界解釈の小説」「究極の小説」であり、一年も前倒しして書きあげた最終稿の入稿日に彼は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で、血を吐くような檄が虚空に消えていくのを見届けた後、割腹自殺しました。……続きを読む
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4位
書籍:『世界の真ん中の木 愛蔵版』
(二木真希子/復刊ドットコム)
レビュアー:休蔵さん 得票数:32
書評掲載日:2019-04-19
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/275856/review/224146/
『守り人シリーズ』の挿絵を担当した二木真希子の紡ぎ出した物語。北欧神話の世界樹を思わせる、天をも貫く大樹とか弱き人の物語。著者の訃報に対してか、愛蔵版が刊行された。
北欧神話に登場するユグドラシル=世界樹にも通ずるような巨大樹に絡む物語。
主人公のシシという少女はおばあさんと一緒に世界の真ん中に生えている巨大樹の根元の小屋に暮らしている。
木は山々に囲まれた谷に生えている。
この谷を訪れる人はほとんどおらず、シシは自分のささやかな暮らしぶりが十分なものなのかどうか気にせずに過ごしていた。
日々をつつましやかに過ごすシシは、10と幾年かの歳月を生きていた。
そして、いつしか木に登ってみたいと密かに思うようになっていた。……続きを読む
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7位
書籍:『統合失調症がやってきた』
(ハウス加賀谷,松本キック/イースト・プレス)
レビュアー:sawady51さん 得票数:31
書評掲載日:2019-04-01
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/208896/review/221912/
統合失調症とはどういう病気か、精神科の病棟とはどんなところか?
人気絶頂の最中、突然芸能界から姿を消した一人の芸人──。「タモリのボキャブラ天国」「進め!電波少年インターナショナル」など人気番組にレギュラー出演していたお笑いコンビ「松本ハウス」は、ハウス加賀谷の統合失調症悪化により、1999年活動休止。その後入院生活を経て症状を劇的に改善させた加賀谷は、10年ぶりの芸人復帰を決意する。相方・松本キックの視点を交えながらコンビ復活までの軌跡が綴られる、感動の一冊。……続きを読む
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8位
書籍:『日蝕』
(平野啓一郎/新潮社)
レビュアー:efさん 得票数:30
書評掲載日:2019-04-28
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/276887/review/226005/
こりゃあとんでもない作品だ。ラストのイメージは圧巻です。
Yasuhiroさんの本書に関するレビューを拝読し、本書のことを知りました。
佐藤亜紀さんの 『鏡の影』 とのパクり問題があるということも、Yasuhiroさんのレビューで初めて知った次第です。
そういう曰く因縁がある作品ならば読んでみたいという好奇心から本書を読んでみました。……続きを読む
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8位
書籍:『数字でわかる!からだのびっくり図鑑』
(藤本幸弘,造事務所/実務教育出版)
レビュアー:マックさん 得票数:30
書評掲載日:2019-04-10
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/275488/review/223925/
わかりやすいから、楽しく読めて理解も深まる。
『はたらく細胞』という漫画がある。
体の中で働く細胞を擬人化し、彼らの苦悩を描いた漫画で、「不摂生したら体内が大変なことになるよ!」という脅迫を受けているような読後感を与えてくれる、とっても為になる漫画だ。
それを読みながら、自らの体内に思いを馳せてみたこと数回。
それぞれの細胞さんたちの疲弊しきった姿が想像できて、思わず目に涙が滲んじゃった。……続きを読む
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10位
書籍:『美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔』
(中野京子/PHP研究所)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:29
評掲載日:2019-04-25
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/266909/review/225788/
有名絵画を飾る麗人たち。
怖い絵の評判がよくて中野京子さんの名前を知りました。
著作を読んでみたいと思いました。ただ、自分の趣味的には怖い絵を
見たくなかったので、この本の登場まで待ちになっていました。古典絵画の造詣が深いかたのようです。
表紙の絵は見覚えがありますが、画家の名前は知りませんでした。
イワン・クラムスコイ作で、1833年ロシアのペテルブルグが舞台です。……続きを読む
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10位
書籍:『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』
(天野頌子/ポプラ社)
レビュアー:波津雪希さん 得票数:29
書評掲載日:2019-04-19
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/163192/review/225549/
インチキ陰陽師のストーリー
表紙では陰陽師の恰好をした人が出ていたのでてっきり陰陽師の本格的な話かと思ったら元ホストで本好きな青年がはじめた占い処。
しかし、アルバイトの少年は狐のコスプレ(陰陽師の式神という位置付け)は、本物です。そう、陰陽師ニセものだけど狐は本物。
しかも動物の狐が化けた訳ではなく
獣人化した狐という設定が面白いです。
……続きを読む