こんにちは。本が好き!編集部の東郷です。
2018年11月の人気書評ランキングを発表します。
(同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載。つまり2018年11月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています!)
1位
書籍:『坊っちゃん』
(夏目漱石/角川書店)
レビュアー:darklyさん 得票数:49
書評掲載日:2018-11-23 08:20:47
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/199324/review/216962/
面白おかしく書いてあるが、漱石の忸怩たる思いは本物だったと思う。#カドブン
カドブンで松山人だからという理由で「坊ちゃん」の書評を書こうと、早速本屋で角川文庫版「坊ちゃん」を購入し読んでみるとこれが面白い。色々な意味で大人になって読むと面白い。読んだのは小学校高学年か中学の頃なので数十年ぶりということになりますが、このような機会がないと再読することもなかったかもしれないと思うと角川書店さんに感謝です。
実を言うと私は生粋の松山人ではありません。松山出身でもなければ住んだのも子供の頃の数年、30歳半ばまで一番長く住んだのは東京です。そこからは松山に住んでますので今では一番松山が長くなりました。つまり松山と東京にかなりいたことになりますのでその視点から書きたいと思います。
松山人は表面はすごく柔らかいのですが、結構底意地が悪いというか裏表があって利己的な人も散見されるという印象です(【注】あくまでも個人的な印象です)。車の運転は割と本性が出ると言いますが、愛媛には「伊予の早曲がり」という言葉があります。これはこちらが直進中、対向車が右折で待っているときに左折信号を出すと先に右折しようとすることを表します。お分かりの通りこれ結構危ないんです。……続きを読む
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2位
書籍:『ある男』
(平野啓一郎/文藝春秋)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:44
書評掲載日:2018-11-07 06:06:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269810/review/215838/
人はなぜ「物語」を求めるのか?人はなにを「物語」に求めるのか?
話は過疎化の進む宮崎県のとある町で
木材を伐採中の谷口大祐という人物が事故死したところから始まる。
谷口は数年前にその町に移り住んできた男で
離婚して子ども連れでUターンしていた里枝と結婚し
二人の間に子どもも生まれて幸せに暮らしていたはずだった。生前、彼は老舗旅館の次男坊で両親や兄と折り合いが悪く
実家とは縁を切り二度と帰らないつもりだと言っていたが
亡くなったとあっては連絡しないわけにもいかなかった。訃報を聞いて駆けつけた兄は、遺影をみておどろく。
そこの写っていたのは見ず知らずの男の顔だったのだ。……続きを読む
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2位
書籍:『本物の読書家』
(乗代雄介/講談社)
レビュアー:風竜胆さん 得票数:44
書評掲載日:2018-11-13 10:02:10
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269142/review/216436/
世の中で「読書家」と呼ばれる人たちの間には大きな問題があると思います。
本書には、2つの中編が収められている。表題作の「本物の読書家」と「未熟な同感者」である。
「本物の読書家」では、語り手である私が、あまりなじみのない大叔父を老人ホームに送り届ける列車内でのエピソードが描かれる。大叔父は川端康成からの手紙を持っているとの噂があった。列車内で同席した関西弁の奇妙な男・田上。彼はやたらと文学に詳しかった。作中に挿入される名作の一節。そして明かされる康成の名作「片腕」のある秘密。
「未熟な同感者」では、主人公の阿佐美が入ったゼミ。ゼミでは文学談義が行われる。ゼミ生は男1人に女3人。そこの「先生」には奇妙なクセがあった。……続きを読む
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4位
書籍:『きらいになれない害虫図鑑』
(有吉立(アース製薬研究開発本部生物飼育課課長)/幻冬舎)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:43
書評掲載日:2018-11-02 09:28:23
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/269877/review/215748/
♪ムカデだって マダニだって ゴキブリだって みんなみんな 生きているんだ (・・・・友達にはなれないかもしれないけど)
なかなかインパクトのあるタイトルである。
著者は害虫駆除の一般薬を開発・販売するアース製薬に勤務する女性である。彼女の仕事は何かといえば、研究開発に用いる害虫を飼育・調達すること。
薬品を販売するには、効能を証明するデータがいる。これを元に厚生労働省に申請し、認可を得て市場に出すわけである。「来年の夏に売り出そう」と思ったら、逆算してそれまでにこれこれの試験をしておかなければならないというのがある。
実験部門から、「幼齢期のクロゴキブリを来週中に300匹」とか「薬剤耐性のチャバネゴキブリ、雌だけで200匹」とか要請を受けて、虫を供給するのが彼女たち飼育部門の人々の役割なのだが、得てしてこの依頼が、ぎりぎりに来る。そんな無茶な!という大量の虫の要望にもなるべく応えられるように、使用されそうな害虫を、常日頃から十分量で飼育しておくのが腕の見せ所である。……続きを読む
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5位
書籍:『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女 上』
(ダヴィドラーゲルクランツ/早川書房)
レビュアー:yukoさん 得票数:40
書評掲載日:2018-11-09 19:43:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/259189/review/216215/
ミレニアム第五弾!今回はドラゴンの意味と、リスベット・サランデルの幼少期が明らかに!
上下巻合わせてのレビューです。
前作の続きで有罪となったリスベット・サランデルは刑務所に収監されているところから物語は始まります。
刑務所内では看守までも恐れ従う、ギャングの一員である囚人、ベニートが好き放題。
美しいバングラディシュ出身の囚人、ファリア・カジは毎晩ベニートの餌食に。
それを看守たちも所長も見て見ぬふりをしていることがリスベットは気に食わない。そんなリスベットが心から信頼している元後見人である、ホルゲル・パルムグレンが、介護がないと生きていけない体なのに、介護タクシーにわざわざ乗り、酸素マスクをして車椅子で刑務所まで面会にやって来ます。……続きを読む
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6位
書籍:『その年、わたしは嘘をおぼえた』
(ローレン・ウォーク/さえら書房)
レビュアー:茜さん 得票数:40
書評掲載日:2018-11-08 23:51:18
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270911/review/216169/
嘘は真実をよそおい、11歳の少女を迷わせる。せつない決心は、予期せぬ結末へ……2017年ニューベリー賞オナー受賞作。
「2つの世界大戦が暗い影を落とす1943年、「オオカミ谷」と呼ばれる丘陵地で静かなくらしを送るわたしの前に、黒い心を持つ少女が現れた。わたしを、わたしの大事な人たちを、傷つけ、わなにかけ、おとしいれていく。わたしは闘うことにした。けれども、ことは、それだけですまなかった――嘘は真実をよそおい、11歳の少女を迷わせる。せつない決心は、予期せぬ結末へ……2017年ニューベリー賞オナー受賞作。ローレン・ウォーク、輝きのデビュー作。」(本文より)
一気読みでした。主人公はアナベル・マクブライドという名前の11歳の女の子。
アナベルの通う学校へベティ・グレンガリーという14歳の女の子が転校してくる。うわさではベティが転校してきたのには「矯正不可能」だかららしい。
所謂、不良ってやつ。そしてこの子がアナベルが嘘をつくこととなる元を作る。そして、もう一人の重要な人物がトビー、オオカミ谷に住み着いた放浪者。……続きを読む
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7位
書籍:『お金持ちは、払う時に「ありがとう」と言う。』
(中谷彰宏/PHP研究所)
レビュアー:sawady51さん 得票数:37
書評掲載日:2018-11-19
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270197/review/214492/
お金持ちは、払う時に「ありがとう」と言う。
金運をあげて、お金に困らない人になる方法、教えます!お金持ちになりたいと思ったら、あなたは何をしますか? 一攫千金をねらう? それとも 節約や貯金をする? 残念ながら、その方法ではお金持ちにはなれません。お金持ちになるために必要なこと、それは、お金の勉強をして、金銭感覚を磨くことです。一見、難しくて大変そうに思えますが、そんなことはありません。「請求書をチェックする習慣をつける」「数字をきれいに、ケタをそろえて書く」「『お金がない』と言わない」……、そんな日常のちょっとしたことを積み重ねていけばいいのです。……続きを読む
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8位
書籍:『ももこの70年代手帖』
(さくらももこ/幻冬舎)
レビュアー:Kuraraさん 得票数:36
書評掲載日:2018-11-27
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/18829/review/217477/
「リンリン、ランラン」「ランラン、カンカン」この違いが判るかな?
図書館の追悼コーナーで手に取った一冊です。
西城秀樹さん、樹木希林さん、津川雅彦さん、菅井きんさん、そして、さくらももこさん。パッと思い浮かんだ今年亡くなった方々を書き連ねてみた。
私が子供の時にTVの楽しさを教えてくださった人々。
そしてそんな娯楽番組ももはや遠い昔のものになった。おっとり性格のミルコさんと鋭いツッコミを入れるももこさん。
会話形式で70年代のあれこれを語り合う。各章にはそれぞれのテーマがあり、テンポよく楽しい話題が登場する。
まるでラジオ番組を視聴しているかのような気分だ。……続きを読む
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9位
書籍:『鹿の王 1』
(上橋菜穂子/KADOKAWA)
レビュアー:DBさん 得票数:35
書評掲載日:2018-11-27
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/251582/review/217483/
伝染病と古代文明の話#カドブン
「『発見!角川文庫70周年記念大賞』を新規書評で制覇するぜ!」企画に参加させていただくべく、ギリギリですが読んでみました。
タイトルだけは知っていたんだけど、上橋菜穂子作品は読んだこともなくいい機会でした。ツオルという東の帝国とムコニアという西の王国に挟まれたアカファは、ツオルに吸収合併され自治権を維持した属州だった。
そのアカファの岩塩鉱で強制労働の刑に処されていたのが主人公のヴァン。
奴隷たちの岩塩鉱での寿命は平均三カ月というガレー船漕ぎ並みの過酷さながら、戦士として鍛えた肉体で毎日を生き延びていた。
そこに現れたのはイヌのようなオオカミのような一匹の黒い獣。
それが岩塩鉱にいた奴隷や奴隷監督といった人々を噛んで逃げていったのだ。……続きを読む
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9位
書籍:『死者の学園祭 赤川次郎ベストセレクション(12)』
(赤川次郎/KADOKAWA)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:35
書評掲載日:2018-11-24
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271528/review/217128/
次々にクラスメイトが三人、事故や自殺を装いつつ殺されてしまう。三人は亡くなる前に学校の視聴覚室で、何かを見ている。#カドブン
とても久しぶりに赤川次郎を読んだ。
この作品は、昭和52年に発表されたそうで、背景がいろいろと懐かしかった。
ビデオカセット、16ミリフィルム、スライドなどがスチール棚に並ぶ視聴覚室。家庭のなかの親子電話。
「ながら族」という言葉もそういえば、聞かなくなってもう長い。大阪の私立高校で、ひとりの女生徒が校舎四階のベランダから落ちて亡くなった。
居合わせたのは翌日東京へ転校する予定の結城真知子。
自殺、として片づけられそうな事件であるけれど、真知子は納得できなかった。亡くなる直前に少女は、ベランダの手すりを散歩するように歩き、下にいる真知子に楽しそうに手を振っていたのだから。……続きを読む
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