2018年限定の文学賞!「ニュー・アカデミー文学賞」最終選考ノミネート作家、キム・チュイの『小川』を読もう!

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文学賞は数あれど、世界で最も権威と知名度がある文学賞といえば、、、そう「ノーベル文学賞」です。2017年には、日系イギリス人作家のカズオ・イシグロが受賞して、大きな話題となりました。そのノーベル文学賞が「受賞者を見送る」という異例の事態で注目されています。

2018年限りの文学賞「ニュー・アカデミー賞」とは?

ノーベル文学賞が2018年度の受賞者発表を見送るという発表をしたのは、2018年5月。スウェーデン・アカデミー内の不祥事が原因でした。文学賞が発表されないなんて!と立ち上げられたのが、スウェーデンの文化人たちによる2018年限定の市民文学賞「ニュー・アカデミー賞」。

市民文学賞というだけあり、選考方法もかなりオープン。スウェーデンの図書館司書らが選んだ候補者47名に対してインターネットで投票が行われ、最終候補が選出されました。

選ばれたのは、マリーズ・コンデ(フランス)、ニール・ゲイマン(ドイツ)、キム・チュイ(ベトナム)、そして村上春樹の4人。(村上春樹は辞退)

2018年の受賞者は10月12日に発表され、マリーズ・コンデに決定しました。授賞式が2018年12月9日にストックホルムで行われたあと、ニュー・アカデミー賞は解散する予定です。

アカデミー賞が見送られることへの抗議として立ち上がった文学賞ですが、ネット投票というオープン選考方法で、この4名は権威とは別の次元で、世界の文学を愛する人たちから支持される作家、といえるのではないでしょうか。

最終選考にノミネートされたキム・チュイに注目!

今回の最終選考作家のうち、日本でも著作が複数出ているコンデとゲイマンのに比べ、キム・チュイは馴染みの薄い作家ではないでしょうか? それもそのはず、日本で刊行されている著作は2012年に発売された『小川』(彩流社)のみ。

キム・チュイとはどんな作家なのでしょうか?

まずは、キム・チュイが作家になるまでのバックグラウンドに触れてみたいと思います。

キム・チュイ Kim Thúy

1968年ベトナムのサイゴン(現ホーチミン市)の裕福な家庭に生まれながら、ベトナム戦争終了後の混乱により、10歳で国を離れボートピープル(難民)に。カナダのモントリオールに移民します。モントリオール大学で学んだ後、裁縫師、通訳、弁護士、レストラン経営者などのさまざまな職を経験しながら、2009年処女作『Ru』を発表。自身の難民経験をベースにした物語は、カナダ総督文学賞など数々の文学賞を受賞しています。

〈著作〉

・『小川(原題:Ru)』(彩流社、2009年)長編第一作

・『À toi』(Pascal Janovjakとの共著、Éditions Libre expression、2011年)

・『Mãn』(Éditions Libre expression、2013年)

・『Vi』(Éditions Libre expression、2016年)

・『Le secret des Vietnamiennes』(Éditions Trécarré、2017年)
などの著作を発表しています。(彩流社HPより引用)

小さな記憶の流れを丁寧に紡いだ自伝的小説『小川』


書籍:『小川
(キム・チュイ,山出 裕子(翻訳)/彩流社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/270665/

【内容紹介】
ロケット弾や銃弾が横切る空の下、
私は生まれた。母の続きの人生を
生きるために――。

ベトナム戦争後の混乱の中、まだ幼い子どもだった「私」は
家族とともにボートピープルになった。
辿り着いたのは純白の大地カナダ。
国を捨て、言葉を失い手に入れたのは、
ベトナム系カナダ人としての新しい生。

それでも、ベトナムの歴史、家族の絆は
目に見えない流れとなって私につながっていく……

現在と過去、ベトナムとカナダを行き来して語られる自伝的小説。

2010年カナダ総督文学賞(フランス語フィクション部門)受賞。
世界17カ国で刊行予定(2012年7月現在)。

ピックアップ書評(タカラ~ムさん)

ベトナム系カナダ人の著者が描く自らの記憶。短い文章を散りばめた記憶の断片のひとつひとつが私たちに伝えるもの

「この作品の原題Ruとは、フランス語で「小川」を意味し、比喩的に「(涙、血、金銭などの)流れ」を意味する。また、ベトナム語では「子守唄」あるいは「揺籠」を意味する。」(本書より)

キム・チュイ「小川」の冒頭には、本書のタイトルが持つ意味が記されている。それは、まさに著者が記す数々の『記憶の断片』によって本書が記されていることも意味している。

巻末のプロフィールによれば、キム・チュイは1968年にベトナムのサイゴン(現在のホーチミン市)に生まれ、10歳でカナダに移住している。キム・チュイが生まれた時代は、ベトナム戦争の真っ只中であり、彼女や彼女の家族も否応なく戦争の災禍に巻き込まれる。

物語は、彼女がこの世に産声をあげた日にはじまる。赤子の元気な泣き声。新年を祝う爆竹の音。そして、機関銃の音が響き、空を戦闘機やロケット弾が飛び交う。たった6行で書かれた描写の中に祝福と混沌が混じり合い、ベトナムの日常と非日常がせめぎ合う。……続きを読む

キム・チュイ著作『小川』を20名にプレゼント!

難民となって、祖国ベトナムからカナダへ流れ着いた中国系ベトナム人の少女の成長を描いた本作を、抽選で20名様にプレゼントします。
ニュー・アカデミー賞で最終選考に残る実力派の作品にぜひ触れてみてください。

応募期間:2018年11月27日~2018年12月4日

冊数:20冊

※応募には「本が好き!」会員登録が必要です。また、献本への応募規定をご確認ください。

※募集は終了しました

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