書肆侃侃房が発行する文芸誌『たべるのがおそい』の編集長でもある西崎憲さんなどが発起人となって、2014年にスタートした翻訳作品の大賞である「日本翻訳大賞」。選考委員は金原瑞人・岸本佐知子・柴田元幸・西崎憲・松永美穂の5名。第4回目の受賞作発表が4/15(日)に迫っています。
現在は最終選考作品が出揃った状況です。そこで、最終選考に残った5作品の本が好き!レビューを紹介します!
数々の賞に輝いたナイジェリア系作家によるデビュー長篇
オープン・シティ
書籍:『オープン・シティ』
(テジュコール(著)・小磯洋光(訳)/新潮社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/254219/
ピックアップ書評(ぱせりさん)
オープン・シティとは、無防備都市という意味なのだそうだ。
オープン・シティとは、無防備都市という意味なのだそうだ。戦力を持たない都市。
ブリュッセルは、第二次大戦下、侵略してきた軍に降伏、交渉をし、街は爆撃を受けることなく生きのこったのだという。……続きを読む
現代アラブ文学の新鋭による短編集
死体展覧会 (エクス・リブリス)
書籍:『死体展覧会 (エクス・リブリス)』
(ハサン・ブラーシム(著)・藤井光(訳)/白水社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/255761/
ピックアップ書評(かもめ通信さん)
ほとんどが数ページで完結する短めの短篇、14作品を収録したイラク人作家による短篇集。元はアラビア語で書かれた物語ではあるが諸処の事情により、米語からの重訳だ。
1973年バグダッドに生まれ、
少年時代をクルド人地域のキルクークで過ごした後、
映像作家となるも政府からの圧力を受け、
2000年に国外に脱出。
イラン、トルコ、ブルガリアを経由してフィンランドに辿りつき、
そこで市民権を得て現在にいたるという著者は
小説家であると同時に、詩人でもあり、映像作家や劇作家でもあるという。……続きを読む
21世紀のアメリカの姿を19歳の少年が描いた名作
ビリー・リンの永遠の一日
書籍:『ビリー・リンの永遠の一日』
(ベンファウンテン(著)・上岡伸雄(訳)/新潮社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/244931/
ピックアップ書評(星落秋風五丈原さん)
たった一日で大人になった 19歳の兵士~アン・リー監督による映画化作品が見たい
19歳の青年ビリー・リンはサダム・フセインをどうしても倒したかったわけではないし、「何かを成し遂げよう」と志していたわけでもない。テキサス州の田舎町出身で、労働者階級の平凡な家庭で育った、どこにでもいる青年だ。高校を卒業する直前、姉キャスリンを裏切った男の車を叩き壊し、訴追を免れるために軍隊に入っただけだ。……続きを読む
いかがでしたか?
このほかにも『殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)』と『人形 (ポーランド文学古典叢書)』の2作があり、合計で5作の中から4/15(日)受賞作が発表されるようです。待ち遠しいですね。それまでに、これらの作品を読んでみるのはどうでしょうか。
- 『オープン・シティ』(テジュコール(著)・小磯洋光(訳)/新潮社)
- 『殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)』 (キムヨンハ(著)・吉川凪(訳)/CUON)
- 『死体展覧会 (エクス・リブリス)』(ハサン・ブラーシム(著)・藤井光(訳)/白水社)
- 『人形 (ポーランド文学古典叢書)』(ボレスワフ・プルス(著)・ 関口時正(訳)/未知谷)
- 『ビリー・リンの永遠の一日』(ベンファウンテン(著)・上岡伸雄(訳)/新潮社)
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