こんにちは。本が好き!編集部の東郷です。
2018年11月26日~2018年12月2日の人気書評ランキングを発表します。
1位
書籍:『その年、わたしは嘘をおぼえた』
(ローレン・ウォーク/さえら書房)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:39
書評掲載日:2018-11-26 05:35:27
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270911/review/217218/
タイトルと装丁と #やまねこ新刊 であることに惹かれて、あれこれ予備知識を仕入れる前にと発売と同時に入手にしたこの本は、予想以上に読み応えがあったけれど、とにかくネタバレなしにレビューを書くのが難しい。
「十二歳になるその年、わたしは嘘をおぼえた。
子どものつくような、ささいな嘘ではない。本物の恐怖にかきたてられた、まぎれもない――わたしの言ったこと、わたしのしたことが、わたし自身を、それまでのくらしから連れ去り、まったく新しい世界へと放りこんだ。(本文より)」こんな書き出しで始まる物語には、冒頭から不穏と不安がつきまとう。
時は1943年、戦争が世界中を大混乱に陥れていた時代の話だ。
主人公の少女アナベルが家族と暮らすアメリカの農村地帯も、そうした世界の動きと決して無縁ではいられなかった。……続きを読む
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2位
書籍:『原民喜 死と愛と孤独の肖像 (岩波新書)』
(/岩波書店)
レビュアー:風竜胆さん 得票数:35
書評掲載日:2018-11-28 08:14:01
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/267617/review/217504/
彼は最愛の妻の待つ世界に旅立ったのだろう。
原民喜というと「夏の花」などの原爆文学で有名だが、一般には忘れ去られた作家かもしれない。私も放送大学の面接授業で取り上げられるまでは知らなかったし、名前を聞いたこともなかったのだが、彼の作品を読んでみてその美しさに魅了された。
本書は原民喜の評伝である。岩波の本は流通過程が他の出版社と違うことで有名だ。通常本というのは書店の委託販売になるのだが(だから売れ残ると返品される)、岩波の場合には書店の買取になる。だから通常よく行く書店には岩波の本は置いていないのだが、さすがに広島の書店だからだろうか、この本だけは新書の棚に置いてあった。……続きを読む
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3位
書籍:『迷走人事 (角川文庫)』
(高杉良/KADOKAWA)
レビュアー:darklyさん 得票数:34
書評掲載日:2018-11-28 19:43:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271530/review/217293/
発見!角川文庫70周年記念大賞で経済小説1位ということだが、どの年代の読者層がどういう点で評価したのか気になる。#カドブン
高杉良さんの小説を読むのは何十年ぶりか分かりません。もちろん最も有名な「金融腐蝕列島」シリーズ他、金融・証券・生保を題材にしたものを読みましたが網羅しているわけでもありません。高杉さんの小説の特徴は何と言っても内部告発があったのではないかと思わせるリアリティでモデルとなった企業もはっきりしているところです。
本書は明言されているわけではありませんがワコールをモデルとしているようです。ちょっと特殊な小説で、1991年に「女性広報主任」として発表された後、「その人事に異議あり」と改題し、それをまた2005年に改作し「新・その人事に異議あり」と発表、「迷走人事」として文庫本となっています。……続きを読む
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4位
書籍:『ももこの70年代手帖』
(さくらももこ/幻冬舎)
レビュアー:Kuraraさん 得票数:33
書評掲載日:2018-11-27 21:44:12
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/188929/review/217477/
「リンリン、ランラン」「ランラン、カンカン」この違いが判るかな?
図書館の追悼コーナーで手に取った一冊です。
西城秀樹さん、樹木希林さん、津川雅彦さん、菅井きんさん、そして、さくらももこさん。パッと思い浮かんだ今年亡くなった方々を書き連ねてみた。
私が子供の時にTVの楽しさを教えてくださった人々。
そしてそんな娯楽番組ももはや遠い昔のものになった。おっとり性格のミルコさんと鋭いツッコミを入れるももこさん。
会話形式で70年代のあれこれを語り合う。各章にはそれぞれのテーマがあり、テンポよく楽しい話題が登場する。
まるでラジオ番組を視聴しているかのような気分だ。……続きを読む
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4位
書籍:『鹿の王 1』
(上橋菜穂子/KADOKAWA)
レビュアー:DBさん 得票数:33
書評掲載日:2018-11-27 20:35:56
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/251582/review/217483/
伝染病と古代文明の話#カドブン
「『発見!角川文庫70周年記念大賞』を新規書評で制覇するぜ!」企画に参加させていただくべく、ギリギリですが読んでみました。
タイトルだけは知っていたんだけど、上橋菜穂子作品は読んだこともなくいい機会でした。ツオルという東の帝国とムコニアという西の王国に挟まれたアカファは、ツオルに吸収合併され自治権を維持した属州だった。
そのアカファの岩塩鉱で強制労働の刑に処されていたのが主人公のヴァン。
奴隷たちの岩塩鉱での寿命は平均三カ月というガレー船漕ぎ並みの過酷さながら、戦士として鍛えた肉体で毎日を生き延びていた。
そこに現れたのはイヌのようなオオカミのような一匹の黒い獣。
それが岩塩鉱にいた奴隷や奴隷監督といった人々を噛んで逃げていったのだ。……続きを読む
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6位
書籍:『破滅の王』
(上田早夕里/双葉社)
レビュアー:darklyさん 得票数:32
書評掲載日:2018-11-26 21:16:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/265941/review/216259/
読み進めると混乱してくる。ストーリーが難解なのではなく、どこまでが史実でどこからがフィクションなのか。
この作者の作品は以前「華竜の宮」というSFを読んだことがあるだけです。その作品は独特の世界観が深い余韻を残す作品であったためこの作家の作品には注目していました。
満州事変から終戦までの中国やドイツを舞台にした歴史ミステリと言えるかと思いますが、最後までどこまでが史実でどこからフィクションなのかが分からず混乱したまま読み終えました。登場人物は731部隊と深い関わりのある石井四郎をはじめ実名のようです。歴史的な事件も史実通りに描かれており歴史小説のような味わいです。……続きを読む
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6位
書籍:『八つ墓村』
(横溝正史/角川書店)
レビュアー:oldmanさん 得票数:32
書評掲載日:2018-11-28 23:45:55
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/122802/review/217364/
~金田一耕介 探偵から探検家に転身か?~ #カドブン 三\__○/ズサー
#『発見!角川文庫70周年記念大賞』を新規書評で制覇するぜ! にあわせてこの有名なミステリーを何十年ぶりに再読致しました。
この話金田一耕介シリーズの中でも、本陣殺人事件や犬神家の一族と並んであまりにも有名なのですが、他のシリーズとは異なり「八つ墓村」では金田一は殆ど活躍しません。
物語は八つ墓村に伝わる不気味な伝説と、それにまつわる23年前の事件の話から始まります。……続きを読む
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6位
書籍:『不思議の国の少女たち (創元推理文庫)』
(ショーニン・マグワイア/東京創元社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:32
書評掲載日:2018-11-29 13:52:08
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271163/review/216924/
「自分の物語がどうやって終わるか教えられるのは自分だけ。」
アメリカの作家ショーニン・マグワイアのファンタジー「Wayward Children」シリーズの1作目「Every Heart a Doorway」がヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞(いずれも中篇部門)を受賞したという話は、どこかで聞きかじって知っていたから、この作品は読み逃すまいと思っていた。
『不思議の国の少女たち』という邦題に少々戸惑いを覚えながらも、きっとコレにちがいないと、いそいそと手を伸ばして驚く。
中篇だと知ってはいたが、200ページちょっとのなんとも薄い本なのだ。……続きを読む
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9位
書籍:『ヨーゼフ・メンゲレの逃亡 (海外文学セレクション)』
(オリヴィエ・ゲーズ/東京創元社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:31
書評掲載日:2018-11-26 08:58:58
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271262/review/217345/
捕まったアイヒマン。逃げおおせたメンゲレ。だがしかし、逃亡しきった彼は、「勝者」であったのか。
戦後、戦犯追及を恐れ、多くのナチ党員が南米に逃れた。残虐な人体実験を数多く行った医師ヨーゼフ・メンゲレもその1人である。アドルフ・アイヒマンのように、その後、居場所を突き止められて断罪された者も多いが、メンゲレは死を迎えるまで、ナチハンターの手から「逃げおおせた」。その潜伏生活については不明な点も多い。
本書は膨大な資料を読み込んだうえで、「影」の部分を小説的手法で補うという、T.カポーティに倣った「ノンフィクション小説」の手法を採る。……続きを読む
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9位
書籍:『世界の果てのこどもたち』
(中脇初枝/講談社)
レビュアー:rodolfo1さん 得票数:31
書評掲載日:2018-11-26 14:02:07
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/227294/review/216555/
小説の舞台は第二次世界大戦の終わり頃。四国から満州に移民してきた家族の一人、珠子。横浜の富裕な貿易商の娘、茉莉。朝鮮から満州に移民に来た美子(ミジャ)。この三人の娘の毀誉褒貶を丹念に描いた作品。
きみは良い子、が評判となりました中脇先生ですが、これはまた大した小説を書
かれたものだと思いましたのでレビューします。小説の舞台は第二次世界大戦の
終わり頃です。四国から満州に移民してきた家族の一人、珠子。横浜の富裕な貿
易商の娘、茉莉。朝鮮から満州に移民に来た美子(ミジャ)。この三人の娘の毀
誉褒貶を丹念に描いた作品です。……続きを読む
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9位
書籍:『そして、ぼくの旅はつづく』
(サイモン・フレンチ/福音館書店)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:31
書評掲載日:2018-11-30 19:16:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270105/review/217366/
昔から旅も音楽もおじいちゃんも物語との相性は抜群だって決まっている!そんな三拍子そろった物語が面白くないわけはない。 #はじめての海外文学
三歳の時に父親を事故で亡くしたアリは
母さんと共にオーパ(ドイツ語でおじいちゃんの意)の農場に身を寄せて暮らしていた。
音楽と演劇を学んだという母さんは
働いてお金が貯まると旅に出る。
バックパックとヴァイオリンを担いで
まだ幼かったアリを連れての二人旅。
といってもヴァイオリンは母さんのためのものではない。
オーケストラでヴァイオリンを弾いていたというオーパの手ほどきをうけて
小さい頃から弾き続けているアリのためのものだった。……続きを読む
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12位
書籍:『誰かが嘘をついている』
(カレン・M・マクマナス/東京創元社)
レビュアー:m181さん 得票数:30
書評掲載日:2018-11-27 16:48:48
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/270814/review/216928/
殺人の容疑者4人の視点から事件が語られる趣向は、まさにあの作品ではないか!? ミステリーとしてよりも青春物語として読ませる、なかなかの優れもの。おすすめの海外ミステリーです。
作品の舞台は、サンディエゴ近郊にあるベイビュー高校。
5人の生徒が、授業中に携帯電話を持っていたというペナルティで、放課後の教室に集められた。
しかし、彼らの取り上げられた携帯は別人の物。
彼らは、何者かによって、この教室に集められたようである。
補習中、水を求めてサイモンが席を立つ。いきなり苦しみだす。ピーナツアレルギー。
薬を求めて保健室に行くも、その薬は何者かによって盗まれていた。
そして、サイモンは死んでしまう。……続きを読む
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13位
書籍:『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』
(君塚直隆/光文社)
レビュアー:sawady51さん 得票数:29
書評掲載日:2018-11-28 09:09:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/110150/review/212412/
肖像画で読み解くイギリス王室の物語。誇り高き役者たち
英国人の心を常に惹きつけてきた、歴代国王や女王の肖像画。いつ、どんな思いを抱え描かれたのか――。史上最強の王室の輩出した誇り高き「役者たち」の素顔にオールカラーで迫る。
『ヘンリ7世』作者不詳
「古代ギリシャ神話でイアソンがアルゴー船に乗って金の羊毛を探しに出かける冒険譚を、そのまま騎士道精神に通ずると解釈して結成された騎士団は、フィリップの息子シャルルが戦死した一四七七年以降は、娘マリーを通じて、彼女の嫁ぎ先であるハプスブルク家へと継承されていった。(本文より)」……続きを読む
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13位
書籍:『歴史のなかの天皇陵』
(高木博志、山田邦和/思文閣出版)
レビュアー:休蔵さん 得票数:29
書評掲載日:2018-11-29 06:55:21
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/245329/review/215549/
天皇陵と言えば巨大古墳というイメージだったけど、それはごく一面に過ぎないようだ。天皇陵を含む古墳群を世界遺産へという動きが活性化するいま、天皇陵について考える良い機会で、本書はその最適書だ。し
世界遺産登録を目指す大阪府の古市・百舌古墳群は、国内推薦が正式に決定したそうだ。
それを受けてだろうか、それまで宮内庁のみが実施していた天皇陵の発掘調査を堺市と共同で実施するということで、相当に画期的なこと。
対象は日本最大の前方後円墳である仁徳天皇陵。
世界遺産を目指すことで天皇陵に対する考え方は変わりつつあるようだ。……続きを読む
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15位
書籍:『世界遺産法隆寺から学ぶ 隅々まで楽しめる寺院の歩き方』
(山田雅夫/自由国民社)
レビュアー:休蔵さん 得票数:28
書評掲載日:2018-11-26 07:03:30
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/271103/review/216317/
奈良県の法隆寺には各時代の建造物が現存する。なにげなく見ているだけでは見過ごしてしまいがちな各時代の建造物の特徴をイラストで紹介する本書は、法隆寺に限らず寺院散策の案内書に最適。
世界文化遺産にも登録されている奈良県の法隆寺には、飛鳥時代・奈良時代・平安時代・鎌倉時代・室町時代・桃山時代・江戸時代の建物が現存する。
国宝や重要文化財に指定されているも建物も多く、あわただしい観光ツアーではなく、ゆっくりと散策したいところ。
もちろん、国宝や重要文化財に指定されている仏像も数多い。……続きを読む
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