本が好き!のサービスである「本が好き!らぼ 近刊情報サーチ」の中から、本が好き!編集部のメンバーが、独断と偏見とその時の気分で選んだ近刊情報をお届けする「今週の気になる近刊」。
第2弾は東郷が推薦する三浦しをん『ののはな通信』です!
三浦しをん作品の魅力
三浦しをんといえば、2006年直木賞を受賞した『まほろ駅前多田便利軒』、2012年本屋大賞を受賞した、辞書の編纂を題材にした『舟を編む』がいずれも映画化されていています。(そういえばどちらも松田龍平が主役です)
映像化作品を通じて、ファンになったという人もいることでしょう。
かくいう東郷が三浦しをんの作品にハマったきっかけは『風が強く吹いている』でした。
駅伝観戦にもマラソンにも興味がないのに本書を手に取ったのは、映画でいうと『ウォーターボーイズ』など、若さゆえの痛々しさがヒリヒリ感じられる青春ものが大好物だから。期待にたがわず、一気に読んで、すぐさまランニングシューズを買ったのもよき思い出です。
三浦作品の世界はちいさな探偵事務所だったり、少人数の編集部だったり、山深い村だったり、、、とある種濃密な空間になんともいえないまったりした時間が流れています。一見、ゆるやかな流れの中で、どうストーリーが展開していくのかな、と先が読めないのも魅力。
ですが、三浦さんは綿密な取材を基にして小説世界を構築されるので、細部まで作りこまれた世界はリアリティに溢れていて、決して遠い世界のお話ではなく、経験したことはないけれど、妙に身近に感じるのです。
また登場人物たちが、とても魅力的!将来の目標もない若者から、頑固だけどおちゃめなところもあるおじいさんまで、性別も年代もバラバラな人々をこうも生き生きと書き分けることができるのか、と驚かされます。ちいさな世界の愛すべき人物たちが、口を開き、一歩動き出した途端、窓から心地よい風が吹き込まれていくようにストーリーが羽ばたいていくのです。
そんな三浦しをんの最新小説が間もなく発売される、とあらば紹介せずにはいられません!
最新作は女学生がテーマ!『ののはな通信』
書籍:『ののはな通信』
(三浦しをん/KADOKAWA)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/265047/
内容紹介
横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。
女子の生き方を描いた傑作小説。
イベント情報
『ののはな通信』(KADOKAWA)刊行記念 三浦しをんさんトーク&サイン会 ゲスト:瀧井朝世さん
2018年6月28日(木)19:00開始(18:45開場)
参加には整理券(先着50名)が必要
会場:紀伊國屋書店新宿本店9階 イベントスペース(東京都 新宿区新宿3丁目17−7)
整理券情報:5月25日(金)10:00より2階中央レジカウンターにて、『ののはな通信』(KADOKAWA 1,728円)をお買い上げの方に整理券をお渡しします。
詳しくは紀伊国屋書店新宿本店HPをご覧ください。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Shinjuku-Main-Store/20180523100033.html
まだまだある!5月・6月に発売される三浦しをん作品
待望の文庫化その1!
書籍:『ビロウな話で恐縮です日記』(2018年5月29日発売)
(三浦しをん/新潮社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/265064/
単行本のレビューをご紹介しましょう。
ピックアップ書評(efさん)
「しっかし、色気ねーなぁ~」とか思いながら(しをんさん、すまん!)、「こりゃ自虐ネタなのかね?」と思ったりしながら読ませて頂きました。
しをんさんがネット上にupしていた『日記』をまとめたものです。
しをんさん自身、冒頭で書いているとおり、本来日記というものは他人に見せることを想定していない文章なわけですが、これはネットにupしちゃっているのでむしろ他人の目を当然意識して書いているのでしょう。
そういう意味では、本来の『日記』ではないのかもしれませんけれど。にやにやしながら読ませていただきました。
タイトルにある尾籠な話もそこそこ盛られております。
……続きを読む
待望の文庫化その2!
書籍:『あの家に暮らす四人の女』(2018年6月22日発売)
(三浦しをん/中央公論新社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/265065/
現代版『細雪』ともいわれる本作。こちらも単行本レビューからお届けします。
ピックアップ書評(Itsukiさん)
色々裏切られました…いい意味で、ね
これまで読んだ三浦しをん作品の中で、一番楽しめた!色々な裏切りがすごく良かった。
古い洋館に暮らす、牧田鶴代・佐知の母と娘、そして転がり込んできた谷山雪乃と上野多恵美。平均年齢42歳。そして館の庭隅に建てられた「守衛小屋」に住む健さんに憧れる老人、山田さん。それぞれが、まずかなり笑える。……続きを読む
冒頭で小説作品の魅力を語りましたが、小説もさることながら、三浦しをんの魅力を深堀りするのにエッセイは欠かせません! 全国の博物館から気になったテーマの博物館を探訪したルポエッセイ『ぐるぐる♡博物館』も、電車で読むのが危険な三浦ワールド全開の良書です。日常生活で垣間見られる素のけだるさ全開(でもなにかにハマったときは妙に勢いづく)三浦しをんワールドもまた必読です。文庫化され手軽に読めるのでぜひ手に取ってみてください。
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