第2回本が好き!レビュー大賞 優秀賞作品発表!


もっと読書を身近に感じてもらいたい、書評(レビュー)を通じて
積極的に本との関わりを深めてもらいたい。
その想いのもと第2回レビュー大賞を開催しました。

昨年春の第1回に続き、
今回もたくさんの力作をご応募いただきました。
ご応募いただいたみなさま、ありがとうございました。

本が好き!編集部、出版社、北海道新聞社の三社で、
厳正なる審査を行いました結果、下記の5作品が各書籍の優秀賞に選出されました。
受賞したレビューとともに発表いたします。

優秀賞発表!

『在野研究ビギナーズ』(荒木優太/明石書店

優秀賞 ヒバゴンさん
独立研究者、在野研究者とはいかなる活動をしている人たちなのか。どんな対象に熱意を注いでいるのか。15 人の現役研究者の声を自身も在野研究者である荒木優太さんがまとめた本書。職業研究者の世界・アカデミアの周辺にいる“在野”の生態は、それ自体が研究対象になるのではないかと思えるほど、興味深い。一匹のハエに魅せられた双翅目研究者、塗り壁について熱く語る怪異・妖怪研究者など、「好き」のけもの道を貫く熱意に心動かされる。
資金捻出、通勤時間に原稿を書くといった苦労も語られているが、読後に残るのは「しないではいられないことをし続ける」すがすがしさだ。在野研究の裾野が広がっていく先にある未来はきっと明るい。

【出版社選考担当者コメント】
優秀賞は、執筆陣の根本にあるものを救い上げた。
【審査員コメント】
内容紹介と意見思考のバランスが良い。「『好き』のけもの道を貫く~」という表現が効いていて、読者の興味をぐっと引き付ける。

『こころ彩る徒然草』(木村耕一/1万年堂出版

優秀賞 おーちゃんさん
最初は子ども向けの本かと思った。文字が大きくて、カラー写真や挿絵もいっぱいで。だけど題名は『徒然草』。あぁ学生時代、小難しくて泣かされた古典だよ、古典! ところが……意外にもつるつる
読めた。冒頭に短い口語文。例えば「今、生きている、この喜びを、日々、楽しもうではありませんか」みたいな。で、わかりやすい説明が続き、最後に原文。ふ~ん、上から目線的説法かと思っていたら、『徒然草』って吉田兼好サンが気ままにしたためたエッセイだったのね。七百年前の人々も迷いながら生きていて、兼好サンからのさりげなくも深い言葉に元気や勇気をもらっていたんだ。読みやすくて奥深いこの作品。古典への見方がちょっと変わったかも?

【出版社選考担当者コメント】
古典『徒然草』の「気軽に読めるエッセイ」としての意外な側面を、しっかり表現してくださいました。
【審査員コメント】
技巧的ではない飾らない言葉で綴っているからこそ、身近に感じられる。文章の持ち味が、本書の親近感とうまくリンクしている。

『こども六法』(山崎聡一郎/弘文堂

優秀賞 なはたさん
私はまだ中学生。法律なんて知っていても意味ない。この本を読むまでそう思っていました。この本を開くとすぐ見て分かる「見出し」と「かわいらしい絵」。読み進んでいくと「法律なんて知っていても
意味ない」と考えていた自分が馬鹿らしく思えてきました。意味が「ある」、「ない」の話ではなく、ただただ面白いと感じたのです。今まで無意識に聞いていたニュースも法律を知ったことで今まで分から
なかったことが理解できるようになり、興味が湧いてきました。この本は「法律を学ぶ」ことができるだけでなく、「社会に目を向ける」きっかけを与えてくれます。だから私は自信を持って全国のこどもにそして大人にもこの本をおすすめしたいです。

【出版社選考担当者コメント】
読んだ人だけが味わえる未知の世界との出会い。読書から生まれる素敵な連鎖が生き生きと伝わってきます。
【審査員コメント】
飾らない感想であるからこそ光るものがある。「社会に目を向ける」きっかけになったという言葉は、この本への最大の賛辞だろう。


『愛のエネルギー家事』(加茂谷真紀/すみれ書房

優秀賞 しょこらさん
この本には優しい気持ちになれる言葉がたくさんつまっています。
数年前にうつ状態になり、それ以来家事が思うようにできなくなりました。気にしないようにしていても、時々、以前はできていたの
にと自分を責めてしまいます。でもこの本では、例えば、疲れているときは外食や出前を頼って誰かのパワーを借りればいいと、慰めではなく前向きに言ってくれます。自分で作れないことで後ろめた
さを感じていた心が、ふっと軽くなり、失った自信を少し取り戻すことができました。見方が変わるだけで、こんなにも心持ちが違ってくる。家事に追われて疲れていたり、イライラしてしまう人にぜ
ひ読んで欲しい本です。

【出版社選考担当者コメント】
正直な心持ちを書いてくださり、「1 冊の本が生活の一助となれた」ことをリアルに知ることができました。
【審査員コメント】
「見方が変わるだけで、こんなにも心持ちが違ってくる」という一文にすべてが集約されている。読んでいるうちに希望を感じた。


『数の女王』(川添愛/東京書籍

優秀賞 川勢七輝さん
数学嫌いの人々よ、反撃の時だ!
全ては数によって支配される世界。そんな世界で生きるメルセイン王国の姫君ナジャ。彼女は王妃に養女として迎え入れられたのだが、
それは悲運の始まりだった。演算と仲間の助け、それから亡き姉への想いを数という力に変えてナジャは戦う──。
学生時代、随分と数学に苦戦した私は、読後の感動と爽快感が一入(ひとしお)だ。演算方法を分かりやすく、しかし物語に違和感なく馴染ませる川添さんの文才。読み始めたら止まらない緊迫の展開、ナジャの心の成長。そして何より、日々悩み、迷う私を優しく、しかし奮い立たせてく
れる言葉達。
さぁ、挫けそうになりながらも前に進むナジャと共に、数字を武器として戦おう。

【出版社選考担当者コメント】
これから読もうとする読者に対して奮起を促すという、他のレビューにない視点が深くささりました。
【審査員コメント】
勢いのある書評で冒頭の一文から引き込まれた。映画の予告編を見ているようだった。オリジナリティの高さが群を抜いていた。

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大賞、北海道新聞社賞については、3月上旬にフェア協力書店及び、本ページ内で発表を予定しています。どうぞお楽しみに!

主催:本が好き!レビュー大賞実行委員会
後援:北海道新聞社
協力:各参加出版社

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