これはすべて、この世界で起きたこと―。ナディア・ムラド自伝『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語ー』ノーベル平和賞から世界を知る


ナディア・ムラドさんをご存知でしょうか?2018年のノーベル平和賞を受賞した、イラク人の女性です。授賞式での講演内容は、ゆるぎない決意に満ちた、胸に迫るものでした。

「暴力にノー、平和にイエス」 ノーベル平和賞講演(全文)
https://www.asahi.com/articles/ASLDB53CQLDBUHBI022.html
(朝日新聞デジタル)

世界で今、何が起こっているのか? ノーベル平和賞はそれを捉えるひとつの鍵です。ナディアさんの受賞までの道のりと、世界を知るための作品をご紹介します。

ヤズィディ教徒への歴史的迫害

ナディアさんはイラク北部の小さな村に生まれたごく普通の女の子。平和なヤズィディのコミュニティで、11人の兄弟に囲まれて、美容師を夢みていた幸せな日々を送っていました。
過激派組織「イスラム国」(IS)の虐殺行為により、その人生は過酷な運命の波にのみ込まれてしまいます。

2014年、信仰する宗教の違いによって、ナディアさんの住む村をISが襲撃。
兄弟やコミュニティの人々が殺され、自らは性奴隷として心と体に傷を負います。
しかし、苦境から脱したディアさんは泣き寝入りせず、立ち上がって愛する祖国と人々のために声をあげました。
すべては被害者となった人々、同じ境遇に苦しむ女性や子どもたちのために。
加害者の罪を正義の元に裁かないかぎり、ISによる虐殺の脅威は変わらないと。

「同情より、行動を」

ナディアさんの勇気ある訴えにより、国際社会は広くこの事実を問題として捉えました。私たちも報道で目にすることのなかった事実を知ることとなりました。

耳を疑うような虐待や殺戮が、今、現実に世界で起きているということ。
少なくともISに捕らえられた三千人以上の子どもや女性の消息がいまだ不明であるといいます。彼らの自由のために、ナディアさんは自らの経験を人権活動家として発信し続けています。

彼女たちの行動を価値あるものにするために

ナディアさんの体験をつづった自叙伝『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―』(東洋館出版社)。
本書を通じて、世界中でどんなことが起きているのか?について知り、考えること。
平和と自由について共感し、行動すること。
人は、自分は、どんな願いをもって生きていきたいのか、夢見ることの自由や大切さを教えてくれる一冊です。ぜひ手に取ってみてください。

〈書籍紹介〉

書籍:『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―
(ナディア・ムラド,吉井智津(訳)/ 東洋館出版社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/272134/

・特設ページ
http://www.toyokan.co.jp/special/book/last-girl/

『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語ー』をプレゼント!

出版社のご協力により、本作を抽選で14名様にプレゼントします。

応募期間:2018年12月18日~2018年12月25日16:00〆切

冊数:14冊

※応募には「本が好き!」会員登録が必要です。また、献本への応募規定をご確認ください。

『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―』の献本に応募する

ノーベル平和賞からこの世界で起きていること、世界を変えようと闘ってきた人々の努力を知る

ナディアさんと同じく、ノーベル平和賞を受賞したコンゴ民主共和国の医師、デニ・ムクウェゲ氏。内戦状態の続く、今後でレイプ被害にあった女性たちを、医療、精神面だけでなく、経済的支援を含めた総合的ケアを続けています。ムクウェゲ氏はこう述べています。「悲劇から目を背けることは、共謀していることと同じです。」そして「私たちに授与されたノーベル平和賞は、世界中にいる性暴力の被害者の生活が確実に変わり、私たちの国々の平和の回復につながった場合に初めて、価値あるものになります。」と。本が好き!として『THE LAST GIRLーイスラム国に囚われ、闘い続ける女性の物語―』とともに読みたい本をご紹介します。

ナディアさんの著書をより深く理解するために、またナディアさんと同じように世界を変えるために闘っている女性の著作をご紹介します。

イスラム国とは何なのか?イスラム文化を知る


書籍:『続 まんが パレスチナ問題 「アラブの春」と「イスラム国」
(山井教雄 / 講談社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/269130/

ピックアップ書評(Jun Shinoさん)

ヒット作「まんが パレスチナ問題」の続編。 前作は旧約聖書から9.11まで。この巻はその後。アフガン戦争、イラク戦争、オバマ登場からアラブの春、イスラム国まで。とても興味深い。

名著の続編。ますます混迷するパレスチナ情勢。たまたま本屋で見つけて即買いだった。

最初の巻は、いまから13年前に発売され、六本木の本屋で買って読んだ。なぜ、パレスチナ問題というものは起きたのか、かなり歴史的なところから紐解いてあって、とても分かりやすく面白く、何回も読み直した。

タイトルのごとく、まんがを混じえ、昨今のパレスチナ、イスラエル、中東世界全体の情勢を紹介している。今回は、9.11同時多発テロ以降の出来事に沿い、ヒズボラ、オバマの登場、ブッシュが始めたイラク戦争とアフガニスタン戦争のその後、アラブの春、そしてイスラム国の登場と、言葉は知っていてもつぶさには理解していない事柄を紐解いている。……続きを読む


書籍:『イスラム国の正体
(国枝昌樹 / 朝日新聞出版)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/226703/

ピックアップ書評(爽風上々さん)

各国の掃討作戦でかなり痛めつけられたとは言え、まだまだ勢力を保ちその上各地でのテロ活動も活発化させているイスラム国の経緯について書かれています。

本書は2014年12月出版、イスラム国はその年6月にイラク第2の都市モスルを制圧し、アメリカなどの空爆などを受けてもまだかなりの勢力を保っていた時でした。

しかし、その後も徐々に勢力範囲を狭めながらも支配地域を維持しており、さらにヨーロッパなどでもテロ攻撃を激化させています。

イスラム国の名はその徹底した残虐性ですぐに知られるようになりました。
捕虜や民間人の大量虐殺、外国人捕虜の処刑や女性の奴隷化など聞くだけでもおぞましい行為をしかもインターネットを通じて自ら公表しているということで世界中の注目を集めています。……続きを読む


書籍:『イスラム教の論理
(飯山陽 / 新潮社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/262684/

ピックアップ書評(kolyaさん)

私たちとは根本的に異なるムスリムの頭の中をイスラム法によって解剖。

立花隆氏が最新刊(『知的ヒントの見つけ方』文春新書)で、イスラム国がわからないと言っています。「国を名乗っているが、それは国家なのか。領土、国民、政治制度、経済制度、法制度、軍事制度など国家たる組織ならば当然に持つ基本要件はどうなっているのか。」こう述べた後で「彼らは千年以上昔のイスラム帝国の栄光時代を取り戻そうとしている」と、さすがの分析をしています。

本書によれば、イスラム国は「国」ではありません。…続きを読む

国際社会で声をあげ闘う勇気ある女性たち


書籍:『わたしはマララ: 教育のために立ち上がり、タリバンに撃たれた少女
(マララ・ユスフザイ クリスティーナ・ラム / 学研マーケティング)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/212898/

ピックアップ書評(たおちゃんさん)

17歳でのノーベル賞受賞。どんな環境に育ったのだろう?皆が平和に暮らせる日を祈るばかりです。

・パキスタンでは、男の子が生まれると祝砲、女の子が生まれたらカーテンの後ろに隠す国。女の子の役割りは、食事を作って、子供を産むことだけ。

・うちはとても貧しかった。父は友人と協力して学校を作ったけど、学校の向かいにあったわが家は、みすぼらしい小屋みたいなもの。粗末な部屋がふたつしかない。トイレも台所もない。学校の水道で洗濯をした。

・イスラム法では、法廷における女性の証言には、男性の証言の二分の一しか価値がないとされる。
レイプされて妊娠した十三歳の少女が、レイプだったと証言をてくれる男性の証人がいないため、姦通罪で投獄される。

これは、地獄以上の鬼の世界だ。人の世界ではない。
……続きを読む


書籍:『ナビラとマララ 「対テロ戦争」に巻き込まれた二人の少女
(宮田律 / 講談社)
書籍詳細URL:https://www.honzuki.jp/book/248706/

ピックアップ書評(sashaさん)

もうひとりのパキスタンの少女。

「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界
を変えられます。教育こそがただ一つの解決策です。エデュケーショ
ン・ファースト(教育を第一に)」

女子教育を否定するパキスタン・タリバン運動に襲撃されながらも、
奇跡的な回復をしたマララ・ユスフザイさんが、2013年に国連本部で
行ったスピーチの一部だ。

マララさんはアメリカでオバマ大統領(当時)と会談した際に、ドローン
を使用した対テロ戦争を止めるよう求めた。

ノーベル平和賞を受賞したマララさんと同じ、パキスタンで生まれ育ち、
対テロ戦争の犠牲になり、アメリカで被害を訴えた少女がいた。

ナビラ・レフマンさんだ。…続きを読む

事実を知って行動することが、彼女たちの行動を価値あるものにするためにわたしたちにできることの第一歩かもしれません。

フォローする