2018年本屋大賞の発表が記憶に新しいですが、本屋大賞には日本の小説のほかに、特別企画として翻訳小説部門そして発掘部門の3つがあるんです!
翻訳小説部門は2013年から創設。2018年第1位に選ばれたのはステファニー・ガーバー著、西本かおる訳『カラヴァル 深紅色の少女』(キノブックス)です。2018年の受賞作をはじめ、歴代の大賞作品を一挙ご紹介します。
- 2018年本屋大賞 全部門の結果発表
- 2017年本屋大賞 翻訳小説部門の結果発表
- 2016年本屋大賞 翻訳小説部門の結果発表
- 2015年本屋大賞 翻訳小説部門の結果発表
- 2014年本屋大賞 翻訳小説部門の結果発表
- 2013年本屋大賞 翻訳小説部門の結果発表
書店の店員さんが「一番売りたい本」を選んだ本屋大賞受賞作は、内容もお墨付き。本選びにも役立つ、読書ガイドです。2013年~2018年の受賞タイトルを本が好き!レビューとともにみていきましょう。
2018年本屋大賞翻訳小説部門 入賞作品
〈第1位〉ステファニー・ガーバー著 西本かおる訳『カラヴァル 深紅色の少女』(キノブックス)
書籍:『カラヴァル 深紅色の少女』
(ステファニー・ガーバー著 西本かおる訳/キノブックス)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/258146/
ピックアップ書評(タローさん)
カラヴァルの魔法にぜひ振り回されてください!
総督の長女、スカーレットは結婚が決まっていた。日取りも相手さえもよく知らない婚約。
それでも、スカーレットはこの結婚に望みをかけていた。それは暴力と権力で自分と妹を支配する父からの解放される事。
自分と妹が、父から離れるにはこれしか道はないと信じて。しかし、それ故に諦めた夢もあった。小さい頃から夢見て、何度も何度も応募し続けたカラヴァルへの参加。……続きを読む
2018年5月には続編『LEGENDARY』(原書)の出版も予定とのこと!
〈第2位〉陳浩基著 天野健太郎訳『13・67』(文藝春秋)
書籍:『13・67』
(陳浩基著 天野健太郎訳/文藝春秋)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/257343/
ピックアップ書評(アリーマさん)
香港の社会背景を戦後から現在まで追いながら、警察小説と本格推理も楽しめる二度美味しい作品。香港ノワール映画の匂いも漂う。映画化の可能性も? とりあえず香港好きには間違いなく楽しい一作。オススメです。……続きを読む
〈第3位〉ボストン・テラン著 田口俊樹訳『その犬の歩むところ』(文藝春秋)
書籍:『その犬の歩むところ』
(ボストン・テラン著 田口俊樹訳/文藝春秋)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/249780/
ピックアップ書評(星落秋風五丈原さん)
一匹の犬が見てきたアメリカ本作の語り口は少々変わっている。まず最初にディーン・ヒコックという元兵士がギヴという犬について語る。では彼が通しの語り手になるかと思えばそうではなく、次の章からは太文字フォントで示されたその犬をご覧。というイントロで始まり、語り手は三人称視点になる。
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本屋大賞翻訳小説部門 歴代入賞作品
〈2013年大賞〉テア・オブレヒト著 藤井光訳『タイガーズ・ワイフ』(新潮社)
書籍:『タイガーズ・ワイフ』
(テア・オブレヒト著 藤井光訳/新潮社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/197895/
ピックアップ書評(かもめ通信さん)
静かで、なぜだかとてもやるせないが、同時に力強さも感じる物語。もしもこの本をとても気に入ったという方がいらしたら、文学や世界、若さや老い、平和や愛について、しみじみと語り合いたい。
とても静かな物語なのだ。
どこかやるせない。
けれどもその一方でとても力強く、読んでいくうちに、あらゆる角度から、「生きる」ということの意味を突きつけられるような気さえする。
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〈2014年大賞〉ローラン・ビネ著 高橋啓訳『HHhH プラハ、1942年』(東京創元社)
書籍:『HHhH プラハ、1942年』
(ローラン・ビネ著 高橋啓訳/東京創元社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/208223/
ピックアップ書評(すけきよさん)
HHhH = Himmlers Hirn heisst Heydrich〈ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる〉
内容だけ書くなら「ユダヤ人大量虐殺を主導した、金髪の野獣ことラインハルト・ハイドリヒと、その彼を暗殺した二人の青年に焦点を当てた史実を元にした小説」となるんだけど、実際に読むとそんな単純なものではない。歴史小説にしろ、ノンフィクションにしろ、見たことがないスタイルで書かれている。
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〈2015年大賞〉ピエール・ルメートル著 橘明美訳『その女アレックス』(文藝春秋)
書籍:『その女アレックス』
(ピエール・ルメートル著 橘明美訳/文藝春秋)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/221335/
ピックアップ書評(風竜胆さん)
事件の裏側には、驚くような真相が潜んでいた。これだけ読者を翻弄するミステリーはないだろう。
「このミス」で史上初の6冠を獲得したという話題作、「その女アレックス」(ピエール・ルメートル、橘明美訳:文春文庫)。読んでみると、なるほど、確かにそれだけの価値のある作品だと実感する。
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〈2016年大賞〉ガブリエル・ゼヴィン著 小尾芙佐訳『書店主フィクリーのものがたり』(早川書房)
書籍:『書店主フィクリーのものがたり』
(ピエール・ルメートル著 橘明美訳/文藝春秋)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/230460/
ピックアップ書評(efさん)
偏屈な中年男性書店主の店に捨て子が! これは良い本だなぁ。大当たりでした!
タイトルになっているフィクリーは、アリス島という辺鄙な島で、島唯一の書店を営んでいる中年男です。書店を共同経営していた美人の妻がいたのですが、妻は不可解な交通事故で亡くなってしまい、現在男やもめ。
本を愛しているのですが、いささか偏屈で、一人暮らしの生活も決して誉められたもんじゃありません。
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〈2017年大賞〉トーン・テレヘン著 長山さき訳『ハリネズミの願い』(新潮社)
書籍:『ハリネズミの願い』
(トーン・テレヘン著 長山さき訳/新潮社)
書籍詳細URL:http://www.honzuki.jp/book/240650/
ピックアップ書評(chiezoさん)
他の動物と上手く付き合えないハリネズミ。ある日突然思い立ち
動物たちをお家へ招待しようと手紙を書くことにしました。「親愛なるどうぶつたちへ。
ぼくの家にあそびに来るよう、キミたちみんなを招待します。
……でも、だれも来なくてもだいじょうぶです。」もしゾウが来たら?サイが来たら?フクロウが来たら?
いや、招待状を出しても誰も来てくれなかったら?
臆病なハリネズミは招待状を引き出しにしまい悩みに悩みます。
独りぼっちなハリネズミ君にお友達はできるのでしょうか。主人公がハリネズミ、彼があらゆる動物とお友達になるべく
お家に招待しよう!と思いついたことから始まる物語。
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ファンタジー小説から、本格推理もの、動物が主人公のほんのり気持ちが温かくなるものまで、海外というわたしたちの馴染みにない文化圏で生まれる翻訳文学の魅力。それはまるで素晴らしい映画を観るかのように、現実を離れその世界へと空想の翼を広げて旅することができる点ではないでしょうか。しかし単なる空想劇に終わらず、そこに流れる人生の喜びや悲しみ、不条理にすら共感できるから不思議です。気になったタイトルを手に取って、ぜひ翻訳文学の魅力に触れてみてください。
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(編集部 東郷)