こんばんは。本が好き!編集部の東郷です。
2018年6月25日~2018年7月1日の人気書評ランキングを発表します。
1位
書籍:『ナラ・レポート』
(津島佑子/人文書院)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:31
書評掲載日:2018-06-28 06:45:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/263051/review/206836/
何度も生き直し、その都度何度も別れゆく、母と息子の変奏曲。
津島佑子コレクション第4集は長編「ナラ・レポート」と
短編「ヒグマの静かな海」を収録。
このコレクションの呼び物の一つでもり、
それ自体がひとつの作品にもなっている読み応えのある解説を、
今回担当しているのは作家の星野智幸さん。
そのタイトルは「声のかけらの氾濫」。
何故と言われても困るが、なんだかもうそう聞いただけでぐっときてしまう。……続きを読む
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2位
書籍:『春にして君を離れ』
(アガサ・クリスティー/早川書房)
レビュアー:efさん 得票数:28
書評掲載日:2018-06-28 05:19:07
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/6650/review/207119/
クリスティーだけどミステリではない。しかし、とても恐ろしい作品である。
以前、 『アガサ・クリスティー完全攻略』 という本をレビューしましたが、その本では著者がクリスティーの邦訳されている全作品を読破した上で、ベスト10を選出していました。
著者が選んだベスト10は、私の感覚とは異なるものではありました。
ただ、その中には私が読んでいない作品が上位にランクされていたことから、「そんなに高評価ならば読んでみなくては」とも思ったのです。
ということで、本作は第5位にランクインしている作品で、図書館にもありましたので借りてきてみました。……続きを読む
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3位
書籍:『ダロウェイ夫人』
(ヴァージニアウルフ/みすず書房)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:27
書評掲載日:2018-06-26 13:23:54
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/266164/review/207029/
ある日の出来事--浮遊する「意識の流れ」
ヴァージニア・ウルフの代表作の1つ。
第一次大戦終了後の1923年6月のある日。富裕層の夫人の1日をベースに、生と死、過去と現在、正気と狂気が交錯する。
特徴的なのは、この小説が登場人物の思考を丹念に追う「意識の流れ」で構成されていることである。もちろん、主役であるダロウェイ夫人の「意識」が主なのだが、彼女と交わる、あるいはすれ違う人々の「意識」もまた織り込まれている。……続きを読む
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4位
書籍:『世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語』
(エドワード・ブルック=ヒッチング/日経ナショナルジオグラフィック社)
レビュアー:はるほんさん 得票数:25
書評掲載日:2018-06-25 12:21:12
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/262820/review/206919/
嘘であって、嘘でない。
小さい頃、冒険の書や地図を描いたことはないだろうか。
玄関を出て角を曲がり、お馴染みの草っぱらがジャングルとなり、
そこを突っ切ったところのどぶ川は大河となる。
特に何もない小山たちは天を突く大山脈となり、
×印のついたところにはなんかこう、お宝的なモノがあったりとか。緯度も経度も無視の、盛りに盛った誇大妄想である。
まぁ所詮お子様のお遊びだから、実もなければ害も無い。
が、コレをオトナが大真面目に、
もしくは不真面目に世界に発信したのが本書である。……続きを読む
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4位
書籍:『墓地の書 (東欧の想像力)』
(サムコターレ/松籟社)
レビュアー:darklyさん 得票数:25
書評掲載日:2018-06-27 20:50:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/194107/review/205879/
個人の幸せや快適な生活と政治体制はあまり関係はないのかもしれない。
作者はサムコ・ターレでありますが、これはこの作品の中で「墓地の書」を書く主人公の名前であり、本当の作者はダニエラ・カピターニョヴァーです。舞台はチェコスロヴァキア崩壊後のハンガリー国境に近いスロヴァキアのコマールノ市。
住民はスロヴァキア系とハンガリー系が多数を占めますが、ドイツ系、チェコ系、ジプシーなども混在している街です。……続きを読む
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6位
書籍:『古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史』
(ブライアンフェイガン/河出書房新社)
レビュアー:DBさん 得票数:24
書評掲載日:2018-06-25 13:52:00
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/10945/review/206435/
気候から見た人類史の本
文明の興亡の影には気候の変動があった。
そんな話を二万年にわたる人類の歴史を追って、カリフォルニア大学の考古学者が語っていきます。紀元前一万八千年のヨーロッパでは、クロマニヨン人が一年の三分の二をしめる冬と短い夏の間で狩猟を主とした生活を送っていた。
その中でも暖かい時代と寒い時代があり、動物と同じように気候の変動に従って人口も増減していた。
紀元前一万五千年になると温暖化が急速に進んでいく。
温暖化と寒冷化を繰り返しながら、動物たちとそれを追う狩猟民族は温暖になると北へ、寒冷になると南へという移動を繰り返す。
この移動を気候によるポンプというわかりやすい表現で説明してあった。……続きを読む
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7位
書籍:『ゲルマニア』
(ハラルトギルバース/集英社)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:23
書評掲載日:2018-06-29 00:04:57
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/227815/review/206416/
ユダヤ人の敏腕刑事とナチス親衛隊将校が猟奇的殺人事件を追う!
1944年ベルリン。ユダヤ人の元敏腕刑事オッペンハイマーは突然ナチス親衛隊に連行され、女性の猟奇殺人事件の捜査を命じられる。断れば即ち死、だがもし事件を解決したとしても命の保証はない。これは賭けだ。彼は決意を胸に、捜査へ乗り出した。
タイトルは、ドイツ首都ベルリンが広く国内外で「世界の首都」と讃えられるよう、アドルフ・ヒトラーがグランド・デザインを考え、建築家アルベルト・シュペーアが細部デザインを任された都市改造構想のことだ。……続きを読む
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7位
書籍:『謎解きはディナーのあとで』
(東川篤哉/小学館)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:23
書評掲載日:2018-06-28 22:08:52
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/52281/review/207159/
本屋大賞を受賞したことがまずいのじゃないかな。
話題が先行し、あれよあれよという間に本屋大賞を受賞してしまったら、
なぜだか評価しない声が聞こえてくるという不思議な現象に陥った
記憶があります。
タイトルや扉絵が印象深く、読む前は悪い印象はありませんでした。
本が好き! でも、低評価が多めなのは気になっていましたが。
……続きを読む
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7位
書籍:『地下室の手記』
(ドストエフスキー/新潮社)
レビュアー:マーブルさん 得票数:23
書評掲載日:2018-06-28 23:23:23
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/12156/review/207169/
ドストエフスキーの先見の明か。常軌を逸した行動は、現代ならどう料理するのか気になるが、果たして作者が描きたかったのがその行動だけなのかは読み込みが足りず判断できず。
異常とも思える語り口に、とまどいを覚える。
全能感にあふれた大言壮語を吐いたと思うと、他人の眼が気になって皆が自分を拒否しているような気分に襲われる。躁鬱の気配を感じる。
しかし、ドストエフスキーはそれを時代に特徴的なひとつのタイプであると述べている。現代であれば「異常性格の引きこもり」とレッテルを貼られるかもしれない。
けれど、レッテルを貼って、それで済ますわけにはいかない。……続きを読む
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10位
書籍:『KEEP MOVING 限界を作らない生き方』
(武藤将胤/誠文堂新光社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:22
書評掲載日:2018-06-25 22:35:25
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/265540/review/206343/
クリエイター、EYE VDJ、ラジオパーソナリティーと多彩な活動を繰り広げる著者のファンはもちろん、ALSについて知りたい方にも、そして誰より何より前向きに生きるためのヒントを探すあなたにもお薦め!
雑誌のグラビアを思わせるような
インパクトのある表紙の写真が格好いいとは思いつつ
若い人向けの本なのかな…と、手に取ることを躊躇って
普段の私ならそのまま通り過ぎてしまっていたかもしれない。にもかかわらず、献本に一番乗りで申し込んだのは
翻訳家・武藤崇恵さんの「甥の本が出た」というツイートを見かけたからだった。……続きを読む
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10位
書籍:『海を照らす光』
(MLステッドマン/早川書房)
レビュアー:efさん 得票数:22
書評掲載日:2018-06-30 05:24:54
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/224754/review/207225/
なんて悲しい話だろう。でも、少しだけ棘が刺さった。
トムは戦争から生き延びて帰ってきた男性でした。
戦争は彼の心に深い傷を残しました。
何故自分は生き残ってしまったのだろう。
どうして戦友が死ななければならなかったのか、と。トムは、この世界から逃げるように灯台守になりました。
厳しい環境の中、世間から隔絶されてたった一人、灯台で暮らし続ける生活です。……続きを読む
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10位
書籍:『破軍の星』
(北方謙三/集英社)
レビュアー:barbarusさん 得票数:22
書評掲載日:2018-06-26 15:55:58
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/72902/review/207003/
陸奥にはためく風林火山。
「私が見ている清冽なものは、あるいは夢かもしれぬ。私が若すぎるがゆえに、抱いてしまう夢かもしれぬ。しかしそれを失った方がいいとは、一度も考えなかった。」(本文引用)
偉大なものから卑小なものまで、結局人は夢を抱かねば生きてはいけないと思う。その名前は千差万別でも、結局人は各々自分だけの夢を抱いたり追ったり惑ったりしながら生きるしかないのではないかと思う。本作に登場する人々もまた、各々の夢を抱いたり、追ったり、惑ったりしながら駆け抜けてゆく。
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13位
書籍:『ビロウな話で恐縮です日記』
(三浦しをん/新潮社)
レビュアー:はなとゆめ+猫の本棚さん 得票数:21
書評掲載日:2018-06-25 05:35:40
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/265064/review/206930/
人間は、メモなり日記なりでいろんなことを記録しようとする
三浦しをんが約2年間、ネットにアップしていた日記を抜粋して収録した作品。
小説家というのは、孤独な職業だ。終日部屋に閉じこもり、時には5日間も誰とも会話しない日が続く。どんどん物語が浮かんで、パソコンに文章が打てる状態であれば、孤独も気にならないが、現実はなかなかそういう状態にならない。
悶々として、いらだちがいつも頂点に達している。こんなとき三浦さんは、頭にティッシュボックスを乗せ、ペンを持ち、部屋の隅の柱に立ち、線をひき、背丈をはかるそうだ。……続きを読む
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13位
書籍:『異世界食堂 4』
(犬塚惇平/主婦の友社)
レビュアー:波津雪希さん 得票数:21
書評掲載日:2018-06-26 05:39:16
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/266149/review/207009/
『洋食のねこや』が異世界に繋がるように扉を開いたヨミが 客として『洋食のねこや』にやってきました。 てっきり、亡くなったと思っていたのに。
表紙のアレッタが、店主の作ったロースかつ定食を見て
満足な顔をしているのは、一種の魔法ではないでしょうか?
本を読む前から店主の料理にとても期待してしますよ。
これは、一種の魔法ですね。
魔族なのに魔法が使えるなんて・・・。……続きを読む
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13位
書籍:『Y氏の終わり』
(スカーレット・トマス/早川書房)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:21
書評掲載日:2018-06-26 00:13:25
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/483/review/206999/
「終わった」本から冒険が「始まる」!
偶然入った古書店で大学院生アリエルが巡り合ったのは、ずっと探していた『Y氏の終わり』という一冊の本。主人公のY氏が人の心のなかでくりひろげる冒険を描いた、呪われているとされる伝説の小説だった。読み進むうちに、物語のなかの出来事は過去に実際に起こったことなのではないかとアリエルは疑い始める。そこに書かれた方法を試したアリエルは、人の心のなかに入ることができるようになる。……続きを読む
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