翻訳者と話そう×本が好き! 翻訳家・和爾桃子の世界 第五回 【英米イケズ競演】短編作家サキ、ジョン・コリア

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ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」や白水Uブックスのサキ四部作など、翻訳家としてご活躍されている和爾桃子(わに ももこ)さんが、2018年3月3日、梅田蔦屋書店のトークイベント「翻訳者と話そう」に登場されます。

◆トークイベント「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」
2018年3月3日(土)19:00〜 (開場18:30)
参加費 1,000円
会場:梅田 蔦屋書店 会議室Shimei(大阪府大阪市北区梅田3−1−3 ルクア イーレ)

ご予約は、梅田蔦屋書店さんのホームページから受付中です。関西方面にお住まいの方、この機会にぜひお運びください!
http://real.tsite.jp/umeda/event/2018/01/post-478.html
mail: umeda_event@ccc.co.jpinfo@sioribi.jp

■訳者のことばで読む

海外翻訳ファンも多い、本が好き!に向けて、和爾さん自身がこれまでに手掛けられた作品について、作品世界の魅力をご紹介いただくシリーズ。

第五回は、【英米イケズ競演】と題し、短編小説の名手、サキとジョン・コリアをご紹介します。

不条理さが胸を突く 短編の名手サキ

短編愛好家の間では、サキは定評のある作家のひとりです。その作風はブラックユーモア、シニカル、冷徹、奇想天外などといったフレーズで語られることが多いですが、その生い立ちは複雑です。イギリス植民地下のミャンマー(ビルマ)で生まれ、2歳のときにイギリスに戻るも、母親と死別し兄弟とともに叔母の元で育てられます。その後、ビルマ警察で働く父と同じ道を歩きだすも、病に侵され3年で帰国。ジャーナリストとして活動を始めます。30歳で初めての本を出版するも鳴かず飛ばす。2年後サキというペンネームを用い短編集を出版し、次第に評価を高めていくも、第一次世界大戦がはじまると、年齢制限を超えているにも関わらず軍隊に志願、1916年にフランスで狙撃され45歳の若さで亡くなりました。長編も手掛けましたが、短編の名手としてO・ヘンリーと並び称され、その切れ味の鋭さは、今なお多くの読者を魅了しつづけています。
白水社から刊行されているサキの短編集4作を和爾さんが手掛けています。

『クローヴィス物語』(白水社)

『けだものと超けだもの』(白水社)

『平和の玩具』(白水社)

『四角い卵』(白水社)

サキとO.ヘンリーはよく並び称されますが、共通項は「短篇」だけ。混ぜるな危険もいいところです。O.ヘンリーはおおむね野生(自然)が人間性に屈する価値観なのに対し、サキはもっと東洋的な不条理を好みます。サキ作品で野生と人間が対峙したら、いかなる意味でも人間の負け。「いやおうなく身の程を思い知らせる」ために、都会でも田舎でも自然界でも縦横無尽にイケズのかみそりをふるって去っていく。同じイケズの虫を抱えたエドワード・ゴーリーとのコラボで切れ味倍増です。むしろジョン・コリアか、いっそ芥川龍之介の方が意味ある比較ではないかと思います。(和爾)

異色短編小説家 ジョン・コリア

ジョン・コリアは、1901年生まれのイギリス人作家。10代で詩人を志し、1920年に初めての詩集を自費出版した。1930年には初の小説『モンキー・ワイフ』を上梓。その後アメリカに移住し、「ニューヨーカー」等の一流誌に作品を発表した。生涯に60編以上の短編を発表。シニカルで、奇想とブラックユーモアあふれる作風は、江戸川乱歩など日本のミステリー作家に愛された。異色短編作家のひとりとして根強いファンをもつ。

『ナツメグの味』(河出書房新社)

次回はいよいよ最終回。番外編として、和爾さんが「ねこ新聞」に寄稿された猫にまつわる古典詩をご紹介します。

■翻訳者・和爾桃子さんへの質問を募集中!

作品について、登場人物や背景について、和爾さん自身について、はたまた翻訳者というお仕事について、和爾さんに聞いてみたいことをホンノワ(掲示板)で募集しています!

和爾桃子さんへの質問箱

※いただいた質問は編集部から和爾さんへお渡しし、当日のトークイベントで取り上げていただく予定です

締切は【2/14(水)23:59まで】

ご投稿、お待ちしています!

■和爾桃子さんプロフィール


英米翻訳家。六歳から十八歳まで、青木正児門下の個人教授に和漢古典の手ほどきを受ける。慶応義塾大学文学部中退。

主な訳書:白水Uブックス・サキ全四巻(白水社)、リアーン・モリアーティ『ささやかで大きな嘘』、ジョン・ディクスン・カー「バンコランシリーズ」、キャサリン・アディスン『エルフ皇帝の後継者』(以上、東京創元社)、バリー・ヒューガート「鳥姫伝三部作」、ロバート・ファン・ヒューリック「狄判事シリーズ」、ポール・ドハティ『白薔薇と鎖』『教会の悪魔』、ジェイソン・グッドウィン『イスタンブールの群狼』『イスタンブールの毒蛇』、
ジョー・ウォルトン『ドラゴンがいっぱい!』、ジャクリーン・ケアリー「クシエルシリーズ」、クリスティン・カショア『剣姫』、ピーター・V・ブレット「護られし者三部作」、ローレン・ビュークス『ZOO CITY』(以上、早川書房)アンドレア・ペンローズ『スペシャリテには罠をひとさじ』(ヴィレッジブックス)、共訳『ナツメグの味』(河出書房新社)など。

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■リンク
藤原編集室

・梅田 蔦屋書店イベントページ「翻訳者と話そう 和爾桃子先生」

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